
東京での短い蜜月を経て、銀二郎さん、たぶん退場――史実や、来週の予告の内容を考慮しても、たぶんこれで本当に退場です。もしかしたら、ちょこっとだけ消息が届くかも知れませんが。
それにしても、別れまでの経緯は実に丁寧で、そして胸を打つ展開でした。どういうドラマか考えれば、ここは別れが訪れる以外にあり得ないんですが、「本当に別れるのかな?」と思うくらい穏やかで優しい空気をトキと銀二郎のあいだに漂わせる。東京で交流する、錦織や帝大生の若者たちも快く、トキも留まってしまいそうな勢いだったのに、ある出来事を契機に、トキの心が波立つ。その伏線の巧さ、繊細な心情表現が良質です。20回の放送は、『あさイチ』の朝ドラ受けで鈴木アナが陥落してるんじゃないかと思いましたよ。プレミアムトークで銀二郎さんこと寛一郎がいて良かったね。
なお、銀二郎のモデルとなる小泉セツの最初の夫・前田為二については、八雲関連の本にほとんど詳細がなく、私もよく知らないのですが、先日の松江怪談談義における小泉凡氏の話によれば、その後を追った論文があるそうです。凡氏もわりと最近知ったとか。
前田為二は実際には大阪でセツと再会しています。その後、正式に離縁した為二は、どうやら岡山にて運送会社を興し、成功したらしい……東京に来た、というのはどこにも載っていないので、このドラマのフィクションだろう、と捉えてましたが、脚色する際に東京で銀二郎に人力車夫をさせた、というのは、このあたりの情報を踏まえ、大阪よりも解りやすい輸送業を起きやすい東京に変更したのかも知れません。
何にしても、ドラマの中の銀二郎さんのその後が幸いであることを願わずにいられません。あなたは本当にいい人だと思う。血の繋がりを超えて絆を紡いだ松野家に、入り込む隙がなかったのでしょう。
で、来週はいよいよ、運命の人であるレフカダ・ヘブンが本格参加です――これまでの描写を考えると、松野家の男性陣、とりわけ勘右衛門との相性はむっちゃくちゃ悪そうですが、どうなることやら。


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