姿が見えない、という怖さ。[レンタルDVD鑑賞日記その952]

呪いの黙示録 第十三章(Amazon.co.jp商品ページにリンク)

 7月2日に、2026年6月リリースの『呪いの黙示録 第十三章』を鑑賞。子供が鍵を落としてしまった穴を探っていたときに記録された怪異《奈落》、家族のレジャーを記録したと思われるブログの闇《ぽかぽか家族日記》、スタッフの知人が残した謎の映像《檻》、不気味な出来事を境に奇行が目立つようになった夫を調べて欲しい、という依頼に、スタッフが乗り出すものの、事態は気想定外の混迷を窮めていく《密契の棲家》前後編の全5篇を収録。
 寺内康太郎が演出を離れても、カメラの前に立つスタッフが多く残留、作り方やクオリティもかなりしっかりと引き継いでいて、アムモ98発売のシリーズでは『XXX』とともに信頼を置いている……けど、私自身、約9ヶ月ぶりの鑑賞なら、リリース自体も1年ぶり、という、以前に勝るスローペースになっている。クオリティを維持してくれるのは嬉しいけど、売上とか今後の展望とかはちょっと心配な今日この頃。
 ここでたびたび記していますが、私はこういう怪奇ドキュメンタリーは、怪奇映像それ自体の異様さとか不気味さとかインパクトといったものも重要ですが、それ以上に、映像そのものの異様さを際立たせる状況、背景を汲み取っていくことこそ醍醐味だ、と思ってます。そういう意味では、映像自体がけっこう強烈な『XXX』よりも、実はこちらの方が私の理想に近い。
 実際、今回もかなり理想の出来です。
 とはいえ序盤はちょっと微妙でしたし、最後まで通して鑑賞しても、やや引っかかるポイントはあります。冒頭、これと言って掘り下げたい素材がなく依頼もない、という状況で、妙にじゃれ合っているスタッフ陣の様子とか、ちょっとおふざけの気配すらある調査の様子を見せるくだりはさすがに要らんだろ、と苦笑してましたし、以前の巻にも登場していた霊能力者は、常識的なことを喋っているようでいて、実は本質的なところをごまかして解決を避けているだけなので、こいつこそこの苦い結末の原因だろ、と思ってしまう。
 それでもシチュエーションのもたらす異様さ、不気味さ、表現に苦しむ類の怖さは出色です。こと、今回の長篇《密契の棲家》で採り上げられる出来事は、幼児期にこうした状況を実際に経験した覚えのあるひと、そういう人が間近にいた記憶があるひとも少なくないはずで、成り行きの怖さが身近に感じられる。だから余計に、逃げ道を奪うかのような霊能力者の対応がすっごーく気になるんですけど。
 結果としてスタッフは“見届ける”しか出来ない状況であればこそのやるせなさ、終幕の不穏な描写も猛烈に尾を引きます。
 取材パートのない、単品のネタ3本も、実は映像的にはそこまで異様とは言い難い。唯一、《奈落》はいちおうはっきりとした“映り込み”がありますが、シチュエーションそのものは珍しくありません。ですが、何故そこを撮っていたのか、という状況が緊張感と怖さを掻き立てます。《ぽかぽか家族日記》と《檻》に至っては、怪異そのものは記録されてないハズなのに、その存在そのものが不気味、という代物。それぞれにネタとして優秀で、これを掘り下げてドキュメンタリーパートくっっければ充分パッケージ1本埋まるだろ、というレベル。
 発表ペースは遅めですが、その分、私みたいな口うるさいタイプをしっかり喜ばせてくれるクオリティを確保している。次も楽しみだ。

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