顔も心も、形を喪っていく。

 本当は今日、『ゴジラ-0.0』を観るつもりでした――って最近、毎回こんなこと書いている気がしますが、理由は微妙に違う。今回の場合、初日である今日のチケットが早く発売されていた事実に気づかず、TOHO-ONE会員が優先的にチケットを買えるはずの時間より早めにアクセスしてみたら、既に購入が可能になっていて、私が好きな時間帯のIMAX上映はほぼいっぱいになっていた――こら少し間を空けたほうがいい、とすぐさま断念しました。
 ただ、今日は日中に出歩ける機会だったので、何かしら映画は1本観ておきたい。幸い、ラージフォーマットではありませんが、気になっていた作品がちょうどいい時間にかかっていたので、これを観ることに決め……用としましたけど、何となく踏ん切りがつかず、チケットを押さえたのは月曜日になってからでした。悩みすぎ。
 行き先は、まだまだ新宿エリアです。少し早めに現地入りして、ユニクロにて1点だけ買い物をすると、そのままTOHOシネマズ新宿へ。  実は開映までまだ30分くらいあるタイミングでしたが、完全に正解。『ゴジラ-0.0』のために、グッズの区画が拡張されてて、開場待ちの客も多い。モバイルオーダーでドリンクバーだけ注文するのに、まずアクセスが出来ず、何とか注文できても数分待たされたりしました……セルフオーダーとモバイルオーダーを導入して、注文手続きを省略したところで、客が多ければけっきょく目詰まりするのよね……。まあ、最終的には充分な余裕をもって入場できました。
 本日鑑賞したのは、ジェームズ・ガンがリードを取るようになってからのDCスタジオ第3作、顔を失った俳優が禁断の実験に身を委ねたことで、狂気の領域へと踏み込んでいく心理スリラー『クレイフェイス(字幕)』(東和ピクチャーズ×東宝配給)。
 始まる前はかなり期待していたのに、こちらが映画館に足を運ぶ頻度が落ちたタイミングに重なってしまったため。3作目にして初めて、ジェームズ・ガン傘下のDC作品鑑賞です。まさか初っぱながヴィラン題材、しかもヒーロー映画の文脈からも逸脱したスリラー、ホラー的な切り口による作品になるとは思ってなかった。
 聞こえてくる評判がやたらよかったので楽しみにしてましたが、なるほどこれはいい。ヴィラン誕生のエピソードとしての本質はきちんと押さえながらも、どん底に落ちていった男を巡る心理的ホラーとして成立している。
 手捌きは実に堅実です。俳優としての名声を目前にしながら、罠によってどん底に突き落とされた男。それ故に、承認のされていない研究に手を出し、想定していなかった変化によって翻弄され、精神的に追い込まれていく。自身を追い込んだ出来事を巡り憎悪を募らせたことが、この変化とさながら“化学反応”を起こして、男を文字通り“変貌”させる。
 ある程度、共感の出来る状況であればこそ、一歩一歩と常識も倫理も踏み外していく様に慄然とします。その容貌の壮絶な変化も相俟って、恐怖と共に感情を揺さぶられる。
 その一方で、クライマックスのくだりには、本来ヒーロー映画のひとつの要素であったからこその、個性的なアクションも展開する。ぶっちゃけ、ひとつひとつの趣向はそこまで珍しくはないのですが、組み合わせ、構成、見せ方が見事で、昂揚感が著しい。
 情感を揺さぶる終幕も秀逸で、確かにこれは素晴らしい。主な舞台は《バットマン》が育まれたゴッサム・シティ、他に登場する固有名詞にも、DC関連のものがちりばめられたりして、同じ世界観に接続していく可能性を示しつつも、単独の映画として面白い。
 3作目にして初めてのジェームズ・ガン指揮下のDC作品を鑑賞した形ですが、これが許容されるなら、他の作品もちょっと期待出来そう……っていうか、やっぱり先行する『スーパーマン』、『スーパーガール』も観ておこうかな。まっすぐ繋がらなくても、それぞれ観る価値はありそうだし。

 ところでこの作品、日本版のキーヴィジュアルのひとつが本国で認められ、日本語のコピーも含めて、本国の正式なキーヴィジュアルのひとつになっている。だからなのか、入場者特典として、小さいポスターを配布していました。
 公開は先週金曜日、週末を挟んでますから、さすがにもう配り終わっただろうなー、と諦めていたのですが、まだ配っておりました。嬉しい。
 が、このあいだの『耳をすませば』と同様、丸めずに渡されました。たぶん最近、ポスター配布の作品が増えたせいで、1本1本丸める余裕がなかったのでしょう。TOHOシネマズ日比谷と同様、輪ゴムを入れた器が用意してあったので、別にそれは構わないんですが、輪ゴムの存在はちゃんとアナウンスした方がいいと思う。私の隣の席に座ったお客は、四つ折り二して仕舞ってたぞ。

 鑑賞後は例によって大久保公園へ。ラー1GPにて、またぞろ食べ比べサイズで2杯食べてきました。また明日以降、順次感想をアップします。

TOHOシネマズ新宿に向かうエスカレーター手前に掲示された『クレイフェイス』ポスター。
TOHOシネマズ新宿に向かうエスカレーター手前に掲示された『クレイフェイス』ポスター。

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