鬼子母神ってどういう神様か知ってます?

 本日観る作品も先週、スケジュールが出揃いはじめた頃には決めてました。積極的に観たいものがいま少なく、素直に興味を持ったものが公開されれば、優先にしてしまうのは当然でしょう。
 ……が、しかし、購入を前にして、悩む羽目になってしまった。だって、きょう観るつもりでいた作品の世評があまりにも悪いんだもの。善し悪しは自分の目で見て判断する、というのが基本方針の私としては悩むところではないはず、なんですが、漏れ聞こえてくる情報からすると、そんな私でもだいぶヤバそうだ、と感じるレベル。
 しかしけっきょくは、「やっぱり自分で判断しよう」と思い至り、肚を決めてチケットを確保。上映している最寄り館であるTOHOシネマズ上野では私の好きな朝一番の回はなく、11時45分というだいぶ微妙な時間帯なので、きっちり『Fit Boxing 2』をこなしてからお出かけ。
 自転車にて上野に向かい、ちょっと早めの昼食をラーメン店で済ませたあと、TOHOシネマズ上野に赴く。鑑賞したのは、少女の不可思議な冒険を描いたアニメーション君は彼方』(Elephant HouseRabbit House配給)
 説明がいつになく簡単なのは、それ以上書こうとすると、どうしてもネタばらしになるからです……バラしたところで影響はない気はしますが。
 率直に言って、評判通りでした。モチーフひとつひとつに既視感があり、それぞれの繋がりが希薄。ストーリー的には、自分が何をすべきか見失ってしまったヒロイン・澪が元の世界に帰るまで、という内容なんですが、そのルールや表現に一貫性がなく、個々の描写に意味が見いだせない。そんな感じなので、クライマックスに至ってもカタルシスが乏しいのです。唐突で不自然なミュージカル・パートや、意味深に出てくる割にはほとんど有効に働かない男の子・新の設定など、やりたかったのは解るけど不要、というモチーフも多すぎる。一貫した世界観の中での余剰なら掘り下げるポイントにもなり得るんですが、本篇はほとんどが余計。
 褒めてあげたいポイントもないわけではないんです。その一場面だけ切り取れば見栄えのいいシーンはありますし、有り体ではあるけれど、ちゃんと整理すれば面白くなりそうな要素もちらほらある。ただ、それを面白く、魅力的に見せる技倆が致命的に欠けている。
 この作品は瀬名快伸監督が企画から原作、劇中歌の作詞、果ては声優に至るまで、あちこちに関わって制作しているのですが、思うにこの方は企画と基本的なアイディア出しに専念して、脚本や監督はほかのかたに委ねるべきでした。最低でも、スクリプトドクターぐらいは入れるべきだった。
 原作ものではない、テレビシリーズの延長でもない、オリジナルの劇場アニメーションがたくさん上映されるのを願っていた私としては、こういう作品は応援したいんですが、そんな私でもこれはちょっとお薦め出来ない。上野では本日いっぱいで上映終了、他の劇場でも軒並み今日限りで、続映するところでも1日1回に絞られてしまうのも、まあ仕方のないところかも……作品の舞台にあり、劇中でも訪れてるTOHOシネマズ池袋でさえ1日1回になってしまってるのが切ない。

コメント

  1. […] 原作、監督、脚本、プロデューサー、ワードコンテ&音響監督:瀬名快伸 /  […]

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