チャップリンじゃないよ日本映画だよ!

 映画館がほとんど休業中につき、本日も映画鑑賞は配信を利用しました。
 ……が、作品を絞り込むのにだいぶ往生しました。次も先日のアカデミー賞に絡む作品を観ようか、と思う一方、立て続けでは芸がない気がする。Amazon Prime Videoであれこれ作品を漁るうちに、「よし、今日は古い日本映画にしよう」と方向性が固まり、様々な要素がとても私好みな1本を見つけたので、さっそく鑑賞。
 選んだのは、都筑道夫原作、岡本喜八監督、仲代達矢主演、暗殺者集団と、彼らに狙われる羽目になった大学講師の追いつ追われつを描いたコメディ・タッチのスリラー『殺人狂時代(1967)』(東宝初公開時配給)
 公開時には不遇だったものの、のちにカルト的人気を博したそうですが、なるほどこれは面白い。やたら滑稽な設定と手段で向かってくる殺し屋たちを、なんとなく翻弄してしまう講師と仲間たち。しばしば攻守が逆転し、思わぬ展開が繰り返して退屈させません。殺害手段の表現がちょっと曖昧で、衝撃、驚きという点では充分に表現し切れてない嫌味がありますが、正直そのくらいは些細な疵です。カーチェイスや格闘、ヒリヒリするような駆け引きに、エロティックな描写まできちんと盛り込んだ見事な娯楽作品。
 ちなみに原作は読んでません……扶桑社文庫の昭和ミステリ秘宝というシリーズにて『なめくじに聞いてみろ』というタイトルで復刊されていたそうなんですが、生憎とこれは買ってなかった。それゆえに、どの程度原作に添ってるのか私には解りません。でも、サーヴィス精神旺盛な作りに、仲代達矢の圧倒的画力で充分満足しました。

 ……ああ、でもやっぱし、大きなスクリーンで観たいなあ。早く映画館の営業が再開しないかなあ。

コメント

  1. […] 原作:都筑道夫『飢えた遺産』(『なめくじに聞いてみろ』) / 監督:岡本喜八 / 脚本:小川英、山崎忠昭、岡本喜八 /  […]

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