作業でいっぱいいっぱいの現在ですが、そろそろ観たい映画が溜まってきてる。もう、ある程度観逃すのは仕方ない、でもこれを観逃したらさすがに後悔するよ、というのも増えてきた。中でも特に飛ばしたくない作品を、気分転換がてら観に行くことにしました。
困ったのが、どこで観るか、という問題。母も気になってるらしいので、付き合いがてらもう1回鑑賞する可能性があり、そう考えると、母と映画を観るときはあまり利用しないプレミアムスクリーンで押さえておきたい。しかし、観られる劇場では最高位にあたるIMAXでの上映は、どこも開映がちと遅い。尺も2時間強あり、終わる時間が遅いのでそのあとの行動にも影響が出てしまう。色々と調べた結果、日本橋にあるDOLBY ATMOSで9時25分から始まる上映で妥協しました。終映時間が昼食時に直撃してるのが困りものですが、それ以外はここがいちばん適当でした。
というわけでTOHOシネマズ日本橋にて干渉した本日の作品は、本年度アカデミー賞最多ノミネートの話題作、《多元宇宙》を題材に、平凡な中年女性が突如として《多元宇宙》の命運を背負った戦いに巻き込まれるさまを、シュールなユーモアを交えて描きだした怪篇『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(字幕・DOLBY ATMOS)』(GAGA配給)。
……なんか本当に、異様なものを見せられた気分です。
間違いなく言えるのは、この世界観がすっと入ってくるのはSF好きか、近年のマーヴェル作品で《多元宇宙》の概念に少しでも馴染んでいるひとでしょう。そうでないと、やたら訳の解らんことを言ってるだけに響くのではなかろうか。
しかしSFとして設定はしっかりしてますし、筋も通ってる。マーヴェル作品では決して探究できないこの概念の奥深さ、ある種の罪深さにも踏み込んでいて、唸らされます。
一方で、その晦渋さをかなり突き抜けたユーモアで覆っているのが巧い。序盤の、並行世界の己のヴィジョンとのあいだを行き来するエヴリンの混乱ぶり、登場人物たちがまるでスイッチが入ったように変貌する面白さ。しかもその方法論が極めてアレなので、随所でシュールな絵面が展開する。っていうか、この映画は本当にレーティングGでいいのか。せめてPG12は必要だったんではないのか。子供が真似しちゃいけないシーンけっこうあるぞ。
そうした世界観を踏まえたクライマックスもかなりカオスなんですが、そのくせ妙な昂揚、感動が待ち受けている。妙ちきりんな映画だな~、と思いつつも魅せられてしまうのです。怪作にして快作。これがアカデミー作品賞獲ろうもんなら本気で歴史が変わるかも知れぬ。
鑑賞後は久々に、コレド室町からすぐそこの神田らぁめん悠にて昼食。ここは設えとしてはシンプルなんですが、スープもチャーシューも丁寧、細麺と交換で選べる平打ち麺のモチモチ加減も私好みなのです。最近、ふくしま館に老麺まるやが来ているときはそちらを優先しがちでご無沙汰でしたが、やっぱりここも美味しい。
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