超絶ひとりでできるもん(5年振り2回目)。

 ようやく、心置きなく映画が観に行ける状況になりました。
 足を運んだのは池袋。上映開始が12時、という少々悩ましいところなので、1時間ほど早く現地入りし、まずは西武の屋上へ赴き、かるかやにて昼食。このところ、定期検診のためだけに、朝早めに訪れることが多く、地下の食品街で生麺を買って帰り、家で食べてばかりでしたから、屋上で食べるのは久し振りです。台風到来前の晴れ間で、気温もちょうど良かったのですが、風が強い。麺は棚引くし、薬を飲むのもひと苦労ですが、これはこれで趣。
 食事を済ませると、地下を抜けて西口方面へ。劇場は、ルミネ池袋8階にあるシネ・リーブル池袋です……ここもミニシアターとしてなかなか興味深い作品をかけてるんですが、意外と縁がなくて、来るたんびに数年単位で間が空きます。ちなみに今回は3年半ぶり。
 鑑賞したのは、アニメーション・クリエイターの坂本タクが、原作、脚本、アニメーション、音楽などほちとんどの作業を単独でこなした長篇『アラーニェの虫籠』、その続編で、あの集合住宅を舞台に繰り広げられるもうひとつの悪夢を描いたアムリタの饗宴/アラーニェの虫籠〈リファイン版〉』(ZELICO FILM配給)。新作の尺が48分と更にコンパクトになったからか、一部の映像を手直しした前作をまず上映してから新作を流す、という理想的な体裁での上映です。2本立てだけど通常料金、しかし長さはほぼ2時間と、実質的に普通の映画である。
 まずは前作のリファイン版。しかし、前作は劇場で観て以来なので、どの辺が改善されたのかは正直解りません。ただ、当時受けた印象よりも映像が綺麗で、ナチュラルになった来はします。手描きと3DCGを織り交ぜるスタイルで、それゆえにどうしても生硬さがあったはずですが、それが和らいでいる。
 そしていよいよ新作です――立て続けだと、絵のクオリティが上がっていることに驚きます。前作も、3DCGとは思えない柔らかさでしたが、今回は更に動きが自然に滑らかになり、かつキャラクターは愛らしくなっている。鑑賞後にパンフレットを読むと、今回は3DCGではなくロトスコープ(実写で撮影したものをトレースする手法)を中心に手描きで補うかたちを取っているそうで、そもそも作り方がガラッと変わっている。この方式を活かし、アニメとしてはかなり大胆なカメラワークも採り入れており、映画としての見応えが増している。
 ストーリー的には、正直なところ色々と引っかかりは覚えます。前作と立て続けの構成だから世界観には入りやすいですが、ほぼ3人だけのドラマなのに彼女たちの背景がほとんど窺い知れなかったり、前作同様にイメージが先行しすぎて場面ごとの繋がりが解りにくかったりしている。新作を目当てにすると、先に上映された前作より短い尺ゆえにどーしようもなく物足りなさを覚えるのも痛い。たぶんあと15分はあったほうが良かったのではないか。
 しかし、ホラー・幻想としての見せ方は確実にレベルアップしてます。間の取り方は更に巧妙になり、登場人物と舞台を絞り込んだため世界観が濃密さを増した。また今回は、背景があまり明示されていないものの、主人公たまひを中心とする思春期の少女ならではの鬱屈も匂わせる内容になっていて、詩情も添えられている。いわゆるホラー映画というよりは、幻想小説などに親しんでいるひとのほうが浸れる作品ではなかろうか。あれこれ言いつつも、私は堪能しました。

 鑑賞後、ちょっと所用で寄り道しつつ帰宅。いつもなら仮眠から起き出しているくらいの時間なので既にだいぶ眠い。ちょうど仕事の合間で戻っていた母が焼いたお餅をお裾分けしてもらったあと仮眠を取ったのですが、いつもより遅いせいかなかなか寝付けず、ようやく目醒めても疲れが取れてない。現在、月にいちどの酒林堂ライブ配信を楽しみつつこれを書いておりますが、たぶんこのあと、いつもより早く眠る。

 昨晩は余裕があったので、前作『アラーニェの虫籠』の感想を手直ししてあります。と言っても、ブログ移転の際に崩れてしまった構成や、表示されなくなった写真のリンクし直しをしただけですが。今日の感想はすぐにはアップしない可能性が高いので、とりあえずこっちをご覧くださいませ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました