21世紀のポアロは、独自の領域へ。

 相変わらず慌ただしいのですが、映画は観に行く。ほんとに、先週今週と観たい作品が固まりすぎなのだ。
 本日の行き先はTOHOシネマズ日本橋。しかも朝9時10分開映、というだいぶ早めの時間帯。朝ドラを観ながら急ぎ準備を済ませ、他の路線の影響で久々に押し潰されそうなレベルの混雑に耐えて劇場へ……ここでもまた妙な展開で足止めを食らいましたが、どうにか本篇には間に合った。
 鑑賞したのは、ケネス・ブラナー監督&主演による《名探偵ポアロ》シリーズ第3作、ベネチアで隠遁生活を送るポアロが誘われたハロウィーンの降霊会にて起きる殺人と不可解な出来事を描く名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊(字幕)』(Walt Disney Japan配給)
 前作までは、かつてオールスターキャストに制作されたシリーズのリメイク、或いは再映画化という趣でしたが、今回はドラマとしては幾度か発表されているものの、映画としては恐らく初めて制作される『ハロウィーン・パーティ』。しかもこれを、舞台をベネチア、人物配置や事件の様相まで大幅に脚色を施している。いちおう原作を読んだ上で臨んだものの、ほとんど別物です。
 ただ原作の要素はあちこちにちりばめられている。事件の導入がハロウィーン・パーティの夜に設定され、最初の被害者は、年齢から何もかも変更されてますが原作と同じ人物。事件の展開はまったく違っていても、意識したり反映した要素は少なくない。その工夫、アレンジの仕方を吟味するのも原作を予習しておく楽しさではある。
 それにしても、本篇のトーンはほぼほぼホラー映画です。子供たちも招いたハロウィーン・パーティが引けたあと、おどろおどろしい雰囲気の中で催される降霊会。そして殺人が起きると、ほぼ蝋燭の明かりしかない舞台では異様な気配が渦巻き、ポアロでさえも幻惑される。邦題の“亡霊”、原題の“Haunting”という単語は伊達ではない。
 しかしちゃんと終盤はミステリとして着地します。いささか直感的な推理には感じますが、しっかり伏線は張り巡らされ、納得もいく。何より、派手に脚色を施しながらも、そこにちゃんとアガサ・クリスティー作品の特徴、味わいが加えられていることは高く評価出来る。原作の要素を有効活用していることといい、きちんと敬意は払ってます。
 衒学的な台詞もまぶし、風格も感じさせる。色々都合良く運びすぎている印象もあって、高得点はつけづらいですが、クリスティーらしさ、ホラー風味の謎解きの味わいを堪能出来る、大人のための良質なミステリ映画です。

 入場が遅くなったため、鑑賞後にパンフレットを購入。先日、ユナイテッド・シネマ豊洲では売り切れていた『プリキュアオールスターズF』のものもあったので一緒に入手しました……ていうか、今回は日本橋でもかかってるんだ。
 劇場を出た時点でまだ11時10分過ぎくらい、きょうは母が昼間の仕事がなく在宅しているので、家で食事をすることにしました。予め言っておいて、日本橋ふくしま館にてお土産用の喜多方ラーメン2食入りを購入して帰宅。喜多方ラーメンでは、お土産であっても老麺まるやのものが我が家にとってはベストですが、今日買ってきたふくしま館で常に扱っているタイプのものでも充分美味しい。

コメント

タイトルとURLをコピーしました