依然として作業と格闘中ですが、しかし今日だけはどうしても映画を観に行かねばならなかった。なぜなら、毎年の目標に掲げている、映画館で年間3桁以上の映画を観る、という目標まで、あと1本だったから。家に戻ったら、限界まで作業に気力を注ぐことを自分に誓ってお出かけ。
映画の開映は16時55分……いつも通り午前中にしたかったところではありますが、この状況なので移動時間を最小限にしたい、となれば私の場合はTOHOシネマズ上野、しかしここで、100本目に観るつもりで取っておいた作品のひとつはかかっておらず、もうひとつの候補はこの16時55分の回だけ。ただ、観終わって帰宅しても、いつもの夕食の時間よりちょっと遅れる程度なので、わりと無理なくスケジュールの中に填め込むことが出来る、という意味では有りがたかった。
……仮眠で寝過ごして、危うく観逃すところでしたけど。ほんとに、近くの劇場選んでおいてよかった。起き出して時計観て、ギリギリ過ぎる、と早足で移動したら、余裕で間に合ってしまった。思ってる以上に近かった。
バタバタしつつ鑑賞したのは、スタジオポノック久々の長篇、イギリスの児童文学をもとに、子供たちの想像から生まれる存在《イマジナリ》の冒険を描くファンタジー『屋根裏のラジャー』(東宝配給)。
依然としてジブリの影響は窺える。ただ、宮崎駿というカリスマから抜け出せないあちらと異なり、『かぐや姫の物語』などで見せた実験性を受け継ぎつつ、児童向けファンタジーとして作品を展開しながら、もうちょっと踏み込もうとしている。
いちばんのポイントは、デジタルを活用することで実現した、従来のアニメーションよりも柔らかなタッチと質感です。フランスのクリエイターの協力で実現したというこのヴィジュアルと、背景までが活き活きと躍動する表現は、それだけで一見の価値がある。
そして、物語としての質も高い。多くの人が生み出したであろう“想像の友達”は、創造主から忘れられたあと、どうなってしまうのか。どうやっても抗えない時の流れの残酷さ、別れの切なさを宿しつつ、現実を知っているがゆえの残酷さと、それでも想像を守ろうとする優しさが、冒険の中で葛藤を繰り返す。クライマックスに至って、にわかに活きてくる伏線がもたらす感動は、かなり来ます。
割と子供連れで観に来ているひとも多かった様子ですが、個人的には、これは大人であればこそ、余計に染みてくる物語だと思います。むろん、自分の奔放な想像が、こうしてどこかで躍動しているかも、という示唆は、子供のワクワクも刺激するでしょうけれど、いちどは《イマジナリ》がいた大人ほど、本篇の物語は切なく響く。
一部の台詞回しに細かく引っかかりはしましたけれど、いい映画であるのは間違いない。壮大な謎掛けのようになった『君たちはどう生きるか』より、私はこちらの方が好き。
時間も時間だし、そもそも作業が待っているので、食事はもちろん、買い物の寄り道もなしでまっすぐ帰宅。帰りも、母に予告しておいたよりずっと早いので、やっぱり近いんだなこの映画館。
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