一昨日の痛恨の寝坊で、次の映画鑑賞はしばらく先になりそうだな~、と思っていたら、その日の夜に、早く駆けつけなきゃいけない作品を見つけてしまった。すぐさまスケジュールを調べ、今日の上映のチケットを確保。
上映開始は17時55分なので、出かけたのは夕方。暖かいのか寒いのか、いまいち判断のしかねる陽気に困惑しつつ、電車に乗って向かったのは、池袋。土曜日、しかも祝日ということもあってか、辟易するような人出を掻き分けて、西口を出て、池袋シネマ・ロサへ。
鑑賞したのは、視聴者から募った怪奇映像を、取材を交えつつその恐怖を掘り下げるドキュメンタリーの元祖、四半世紀超えの節目を記念した劇場版新作、投稿者から演出担当にまでなったシリーズの寵児とも言える菊池宣秀監督が特別に演出として復帰、事故により崩壊した家族の残した映像を巡る長篇『ほんとにあった!呪いのビデオ109』(NSW配給)。実は今月8日から公開されてたらしい。初めてその事実に気づいた木曜夜、都内での上映はもう次の日曜で終わりらしい、ということも発見してしまって、ほんとは嫌だけど、祝日の土曜日夕方から出かける覚悟を決めたわけです……やっぱり、こういうのは大好きだしね。
……とは言え、在任中は微妙な出来も多かった菊池宣秀監督なので、心配もしてましたけど、やはり悪い予感が的中した感じ。導入から展開、決着まで、あちこちに監督の悪いところが出ちゃってる。
いろいろツッコミどころはあるんですが、いちばんどうかと思うのは、目ざとい観客ならわりと早く勘づくところで驚いたり、解りきった謎をもったいぶって見せる辺りが正直、興醒めです。特に、エンドロールあとに見せる最後の映像は、先行するシーンにて他の出来事とひと繋がりで見せていたとき、映画館の光量で鑑賞すると既にはっきり見えちゃってるため、もったいぶる意味が解らない。結局は家庭のモニターで観るひとの方が多くなるのでその想定で作ってるのでしょうが、劇場版と銘打ってる以上、映画館の環境で鑑賞することも考慮して編集すべきだと思う。色々と放り出したまんまなのはいいとしても、この拙さはいちばん問題。
ただ、細かに怪異を捉える一方、地道な追跡調査で背景に迫っていくスタイルは健在。ちょっと無茶をしたり、「なんでそこにあえて夜突入すんのよ」というお約束も交えつつ、不可解なことが続く終盤は惹きつけられます。ツッコミどころが多いけれど、それはそれで楽しめる。
『ほん呪』らしさは堪能できたので、私としてはいいんですが、中村義洋監督が乗り出して演出し、単品のホラー映画としても優秀だった『ほんとにあった!呪いのビデオ100』と比較するとかなり心許なく、お勧めは出来ない。シリーズは私がまだ鑑賞できてない『~108』で小休止のような状態だそうですが、元祖として続けて欲しいところ――申し訳ないけれど、この出来で終焉、はあんまし納得いかない。
鑑賞後はまっすぐ帰宅。途中、トラブルで電車が止まり、予定より時間がかかったせいで、家に帰りついたときには若干へろへろでした。映画館に行く前に、どこかで軽く摘まむものを買っていこうか、と考えてたんですが、人混みがヒドすぎてそんな気になれなかったのです……。
池袋シネマ・ロサのロビーに展示された、菊池宣秀監督、藤本裕貴演出補、男鹿悠太演出補、美濃良偲演出補のサイン入り『ほんとにあった!呪いのビデオ109』ポスター。
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