納得の結果。

 触れるの忘れてましたが、昨日はアカデミー賞授賞式でした。
 以前はリアルタイムで結果をアップしてたりしましたが、映画のクオリティ以上に絡んでくるイデオロギーに倦んだことと、何よりも「けっきょくは、他人の評価より、自分が観て良かったか否かだ」という結論に達してしまったため、観る作品を選ぶときの参考、以上の捉え方が出来なくなったので、賞そのものに興味が薄れてしまいました。依然として参考にはしていますが、それだけ。
 とはいえ、今回は結果にちょっと興味があったので、眼科から帰ったあと、光に敏感な目をしばたたかせつつ、NHK BSで放送していた授賞式終盤はリアルタイムで鑑賞していたりする。
 ライアン・クーグラー監督『罪人たち』とポール・トーマス・アンダーソン監督『ワン・バトル・アフター・アナザー』がさながら雌雄を決するような展開でしたが、最終的には後者が作品集、監督賞という目玉を含む6部門での受賞と優勢に終わりました。とはいえ『罪人たち』も、個人的には“アカデミー賞でいちばん信用できる”と思っているオリジナル脚本賞と主演男優賞含む4部門での獲得で、間違いなく高く評価されてる。
 実際、ほぼこの2作に尽きる年だったのではなかろうか。たぶん選ぶ方もこの2択で、クオリティについてはほとんど文句なし、あとはどこを評価して、どちらが賞に相応しいか、という観点で、だいぶ悩んだはず。
 ……個人的には、作品賞でいきなり『F1/エフワン』が輝く、とか意味の解らない番狂わせがあっても面白いんじゃないかな~、と無責任なことを考えたりしましたけど、そんな卓袱台返しは滅多にない。
 しかし昨日、なにが面白かったかって、かつては授賞式の当日、きちんと字幕を入れたヴァージョンを再放送していたであろう時間に、WOWOWで『罪人たち』をかけていたことです。
 放送権は失ったけど、作品そのものの放送は可能になってるんなら、そりゃあ有力候補をぶつけてくるのも宜なるかな。NHKのほうは、総集篇として別日に再放送するようなので、バッティングすることもないし、こうなるとむしろ、放送権が移ったことは幸いだったかも知れぬ。好みはあるけれど、『罪人たち』はブラック・ムーヴィーとジャンル映画の極めて美しいマリアージュを果たした傑作なので、気になる方は観てね。
 ……それにしても、今回の顛末は一種、世代交代のような趣を感じました。だって、長年、“評価は高いけど受賞できない人”だったポール・トーマス・アンダーソン監督が卒業した代わりに、この座にライアン・クーグラー監督が就いた感じだし。初長篇『フルートベール駅で』から評価は高いし、『ブラックパンサー』でアメコミ映画ながらアカデミー賞多数ノミネートの快挙を果たしたけど、自身の受賞は――まあ今回、オリジナル脚本で自らオスカーを手にしてますけど、たぶん作品賞・監督賞のダブル受賞を果たすまで言われ続けると思う。

 もうひとつ、今回嬉しいのは、助演女優賞を獲得したエイミー・マディガンです。
 作品は『WEAPON/ウェポン』――なんとこちらもホラーです。ジャンルをブラック・ムーヴィーに取り込んだ『罪人たち』に対し、こちらはジャンルのなかのテーマに着眼と工夫で変化を加えたもので、比較するものではないけれど、より純粋なホラーと言える。
 この作品で、重要なキャラクターを、圧倒的な説得力で怪演した俳優が、アカデミー賞で認められた、というのも意義は大きい――ハンニバル・レクター役で受賞したアンソニー・ホプキンスみたいな人もいるとは言い条、やっぱり凄いことだと思う。
 ――そういえば、これも『ワン・バトル・アフター・アナザー』も『罪人たち』も、ぜんぶWarner Bros.作品だ。買収の話が浮上した年にここまで活躍するのも面白い。

 あとは、ヘア&メイクアップ部門にノミネートされていた『国宝』が受賞を逃したのが残念、というのがありますが、こちらも個人的には、ギレルモ・デル・トロ監督『フランケンシュタイン』が獲得しているので、まあ仕方がないかな、と思う。クリーチャーを手懸けたときのデル・トロ監督作品は、美術絡みでめっぽう強いのだ。

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