心も身体も、思いのままにはならない。

 今週は、予定が詰まってます。早めに観ておきたい作品を押さえに行くなら、今日しかない……正直、11時開映、というスケジュールは、あとがしんどいのであまり利用したくないのですが、かかっている劇場が少なく、上映枠も限られているので、この辺りで我慢せにゃならない。
 昨日は透析時に採血を実施しているので、クリニックに手ずから配達……いつもなら徒歩ですが、雨がひどいので、クリニックまでは母に車で送ってもらい、その最寄り駅から電車にて移動。
 行き先はTOHOシネマズシャンテ……午前十時の映画祭16の上映館になる、と聞いたときからそんな気はしてましたが、案の定、来訪する頻度が増してます。何せここは本来ミニシアター的な立ち位置で、余所ではかからない作品が多い。ここで本篇前に予告篇を観てしまったら、どーしたって興味をそそられてしまう。まあ、今回の作品までは、別のところで何となく入手していた情報で惹かれていたものですが、既にこのふた月ほどに観た予告篇で気になるものが幾つもあったので、今年はけっこう通うことになりそう……。
 ともあれ鑑賞したのは、北ドイツのとある農村を舞台に、異なる年代を生きた女性たちの秘かな苦悩を不気味な気配と共に描く落下音』(NOROSHIGAGA配給)
 17日、タイタンシネマライブのついでに観ようと思っていた第一候補がこの作品です。予告篇を観たとき、その不穏な雰囲気に魅せられてしまい、公開したらなるべく早く観よう、と思っていたのです。
 ……シネマライブと一緒にしなくて良かったかも。気力がすっごく削られます。
 ろくすっぽ説明がなく、しかも異なる時代の出来事を交差させて描いているので、状況の把握がかなり大変。ぼんやりと観ていたら、最後まで誰が誰だか解らない可能性もあります。実際、物語としては4世代に跨がってるんですが、そのことを確信できるまでがけっこう長い。
 しかし、この終始、なんとも名状しがたい不安、おぞましさがつきまとう描写はかなり上質。しばしば響き渡るノイズ、不意に登場人物がカメラに向ける眼差し。そうした、非常に意味深な表現の数々が催す違和感、居心地の悪さは、観ているあいだはむろん、観終わってからも疼くように胸に残る。
 ただ、個人的に、本篇の終盤の展開は、決して期待したようなものではありませんでした。でも、観終わってから吟味すると、これはこういう描き方であるべきだった、と思います。全篇に漲る閉塞感、滲み出すような曖昧な不安は、こうやって閉じていくしかない。
 この作品は、4つの世代それぞれに存在する、女性であるが故の行き場のない感覚が細かに織り込まれている。性差別は勿論のこと、あからさまには表現しづらい本能的で歪んだ衝動も描いている。そこには、どうしようもなく逃れられない“性”というものの束縛が浮かび上が利、その先にあの終幕がある。
 なにせ、全体像が把握しづらいので、神経はすり減るし、状況が把握できないままだとどんどん退屈に思えてくるはず。しかし、その複雑に縺れた糸を解きほぐしていけば、ラストの衝撃がじっとりと胸に染み渡り、忘れがたい余韻を得られる。期待とは違っていたけれど、奥行きのある傑作です。

 映画館を出て、傘を差そうとしたら、もう路面がすっかり乾いている。それどころか、薄日が差して、だいぶ暖かくなってきた。
 雨が降っていたら、映画館の近くでさっさと昼食を済ませて帰るつもりでしたが、ちょっと歩いて、有楽町駅の日比谷口とは反対側の近くにある丸亀製麺へ。ちょうどこの時期恒例のトマたまカレーうどんシリーズがまた始まっていたので、これが目当てだったのですが、私の後ろについた女性が明太クリームうどんを注文していて「あれ?」となった――期間限定じゃなかったっけ?
 てっきり、トマたまカレーうどんと入れ替わりで終了になるものかと思ってましたが、どうも在庫があれば提供を続けているらしい……まあ、今日はもともとチーズトマたまカレーうどんの口だったので、気づいたとしても注文しなかったでしょうけど……次回、訪ねるときまで残ってるだろうか。

TOHOシネマズシャンテの入っているビル外壁にあしらわれた『落下音』キーヴィジュアル。。
TOHOシネマズシャンテの入っているビル外壁にあしらわれた『落下音』キーヴィジュアル。

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