『嘘解きレトリック 第7話』

 今回は《幽霊屋敷》篇。10年前に殺人事件の起きた屋敷を通りかかったとき、画家が目撃したという首を吊る女の姿。恋人であるカフェ女給のリリーに信じてもらえない画家のために、左右馬と鹿乃子は問題の“幽霊屋敷”に赴く。
 原作では単話の短さながら、ミステリらしさが横溢していて好きなエピソードでした。ドラマ版では飛ばすのかな、と思ってたら、ちょっと遅れて、しかも1話丸々費やして映像化してくれて嬉しい。
 しかし今回は、脚色部分がなかなか優秀です。謎解きが本篇半分くらいであらかた終ってしまって、このあとどうやって引き延ばすのか、別のエピソードも混ぜるのか? とハラハラしてましたが、ここからのアイディアが見事でした。事件の背後にいた人間の行動にホラー的な要素を加えて、原作にもあるエピローグ部分での左右馬の“指摘”の持つ怖さをいっそう引き立てた。
 その分、家庭が良くも悪くも、より漫画チックに(実写なのに)なってますが、真相とうまくコントラストを成しているし、物語としての楽しさにも繋がっている。原作が持つ、現代性とクラシカルなミステリ――というか、“探偵小説”の趣を巧く取り込んだ、今回もいい映像化だと思う。
 あんまり触れてませんでしたが、このドラマ版で個人的にもうひとつ評価しているのは、お隣の割烹くら田の出番が増えていること。九十九夜町の人々がみな善良だから、鹿乃子のような異能や左右馬のような異端児も心地よく過ごせているのですけど、この二人にとって、ツケでちゃんと食べさせてくれるこのお店の存在は大きい。そして、原作にない要素で、この夫婦の人柄、人情味がきちんと物語に味付けしているのがいい。そしてそこにインフォマーシャルのネタを絡めてくる仕掛けには唸らされました。これ、たぶんリアルタイムでドラマを観てないと堪能できない楽しさよね。

嘘解きレトリック - フジテレビ
嘘解きレトリック - オフィシャルサイト。毎週月曜よる9時放送。鈴鹿央士、松本穂香

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