『海に眠るダイヤモンド 第7話 消えない火』

 進平とリナとの間に子供が産まれ、賢将と百合子が結婚して1年。鉄平は朝子と交際しているが、友人たち以外にはまだ公言できずにいる。そんな中、坑内で火災がはっせいした。早急に鎮火に成功した、と思われたが、一平たちが調査を行っているときに再度発火、大勢の負傷者が出てしまう。炭鉱長の判断により、通常は海水の排水に用いるポンプを消火に回して制圧を試みるが――
 シリーズ序盤のゴタゴタを乗り越え、進平とリナとの間に口外できない事情を孕みつつも、これまでになく和やかな展開をしていたのに、一気に事態は緊迫する。序盤が和やかであるだけに、その切羽詰まった状況が際立ちます。
 端島の歴史を調べていけば、必ず突き当たるこの重大な事態の結末は解っているわけですが、なまじそれまでに、鉄平たち幼馴染みや彼らの家族、炭鉱員の関係性を丁寧に見せられてしまったので、彼らの動揺、焦り、懊悩が余計に生々しい。ここで一歩誤れば、家族が生きていく術を失う、という焦り、それでも重要な決断を下さねばならない炭鉱長の苦悩。炭鉱長も、当初は炭鉱員に対して冷淡であったのに、息子の賢将と鉄平たち家族を始めとする島民たちとの関わりを経て、ようやく打ち解けていっただけに、終盤の決断はあまりに苦い。
 一方で、未だに2018年パートで残る謎の手がかりは見えてこない。1964年の描写からすると、まだまだいづみの「鉄平がどうなったか知らない」という言葉には結びつきにくい。今回、そこに至る決定的な事態が起きるのでは、と身構えていたのですが、どうやら本当に重大な変化は、予告で“最終章”という文字が出てきた次回あたりに起きる模様。現代篇の玲央は果たしてどのように鉄平の行方を捜し出すのか、そもそも鉄平と瓜二つの玲央に、過去との繋がりはあるのか否か。
 ストーリー的にも目を離せませんが、今回は坑道火災のスリリングな描写も見所です。シチュエーション的に、火災そのものを見せる場面はわずかなんですが、鎮圧に向かう人々の焦燥感、次第に迫ってくる熱気やガスの気配、それらの兆候と思われる擬音などで、異様な臨場感を生み出している。ここまでの緻密な端島の再現で充分すぎるくらいにスタッフの気合いの入り方は伝わりましたが、今回は特に圧巻。
 来週からは恐らく、閉山への秒読みを始めた端島の変化が描かれ、たぶんこのあたりで現代とのリンクが更に明確になっていく、はず。いったいどこへ着地するのか。ていうかあと何話あるのだ。

TBSテレビ「日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』」
TBSテレビ 日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』の公式サイトです。毎週日曜よる9時放送。主演は神木隆之介。過去から現代に通じる希望を見つけだす、時代を超えたヒューマンラブエンターテインメント。

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