
今クールもまあまあドラマは観てました。『相棒』や『家政夫のミタゾノ』とともに、今回楽しんでいたのがこの『問題物件』。FODで先行配信が実施されている水曜10時の枠なので、今度も概ね、放送したその夜のうちに次の回を楽しんでました。
原作は、『刑事コロンボ』のノヴェライズ翻訳から『名探偵コナン』の脚本まで、長く本格ミステリを手懸けてきた大倉崇裕なので、ミステリとしての細工にはあまり心配をしてなかった――んですが、果たしてどの程度、原作をなぞっていたのか、率直に言えば穴のあるエピソードも多かった。アイディア自体は優秀だし、ひねりもあるんだけど、もっと補うべきだろ、と感じたり、さすがに現実ではあり得ない成り行きもあった。
しかし、そういう不満を上回るくらい、上川隆也が演じる犬頭光太郎というキャラクターが秀逸でした。神出鬼没で傍若無人、謎の犬ファースト思考で行動する一方、謎解きについては異常な鋭さを見せる。ず~っと彼の正体について、内田理央演じる若宮恵美子らが詮索してますが、ぶっちゃけ何ものであってもどうでもいい。このキャラクターそのものが素晴らしい。
ドラマとして面白かったのは、そんな犬頭ばかりでなく、他のキャラも立っていて、絡みが終始面白かったから。営業成績の悪さから左遷されたはずが、犬頭と行動するうちにちょっとずつ成長していく恵美子、犬頭の知り合いで、ダンディーに決めようとするけれど終始締まらない浜野謙太演じる有村次郎。各エピソードのゲストも、お笑い芸人をちょっと登場させつつ、それぞれに個性が際立っていて、やり取りが面白い。
シリーズ通しての謎として仕掛けてきた犬頭の正体と、宮世琉弥演じる特別販売室室長の失墜を目論む策略の行方が、あんまりスッキリしなかったこともあって、評価は微妙になりそうですが、犬頭というキャラクターと語り口は秀逸でしたし、曰くのある物件の謎を解く、という縛りでの本格ミステリとして伸びしろはあると思うので、続篇に期待したいところ。『遺留捜査』などとは違う、はっちゃけた上川隆也がもっと観たい。ハンマーを振り回す犬頭とかモー娘。のフリを再現する犬頭とか、あんなのがもっと欲しいのだ。
ちなみにこの感想は、一週間前、最終話の先行配信を観終わった直後に書いてます。追い込みの時期のネタをありがとう。
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