2018年の映画鑑賞・総括

劇場で鑑賞した本数: 113本(延べ・121本)

 今年の体調不良はけっこう深刻だったんですが、それでも頑張って月10本のペースは維持しました。

 また、ここ数年と比較すると、午前十時の映画祭など過去に感想を既に書いている作品を再鑑賞する機会は少なめ、ロードショー中の作品を繰り返し観に行くパターンも3回しかなかった(3回ありゃ充分、という気もする)ので、初鑑賞の数じたい多め。来年もこのくらいのペースを維持したい。無理のかからない範囲で。

映像ソフトもしくはオンデマンドで鑑賞した本数: 5本

 思ったほど伸びませんでした。それというのも、今年は映画感想の宿題を消化するために、前にいちど観た作品をDVDやオンデマンドで鑑賞する機会がちょっと増えたので、初見の作品に接する機会が減っていたのでしょう。基本的に、最初は映画館で楽しむ、という姿勢は崩したくないので、来年もきっとそんなに本数は増えません。

最も多く訪れた劇場: TOHOシネマズ日本橋&TOHOシネマズ上野 28本

 土地の利から、昨年オープンしたTOHOシネマズ上野が今年は飛び抜けて増える、かと思いきやさにあらず。未だ『午前十時の映画祭』をかけているアドヴァンテージと、わりあい近い場所に劇場があることに配慮してか、それぞれの土地でかける作品の傾向を微妙に変えているようで、何だかんだで日本橋に行く回数が多かった。12月半ばまでは日本橋がトップになりそうでしたが、最後に3本連続で上野で鑑賞して、無理矢理並べた格好です――別に並べる必要もなかったんだけど。

 来年はどうなるか解りません。大作はなるべくIMAXで観たい、と思っているので、TOHOシネマズ日比谷はもう少し伸びそうな気がするんですが、最近はプログラムの切替が早いせいで、劇場の絞り込みが難しいのです。

私的ベスト10(2018年01月以降に劇場で封切り公開された作品)

順位 作品タイトル 日本公開日
ヘレディタリー/継承 2018年11月30日
シェイプ・オブ・ウォーター 2018年3月1日
万引き家族 2018年6月8日
犬ヶ島 2018年5月25日
ワンダーストラック(2017) 2018年8月24日
search/サーチ 2018年10月26日
カメラを止めるな! 2018年6月23日
ミッション:インポッシブル/フォールアウト 2018年8月3日
キングスマン:ゴールデン・サークル 2018年1月5日
10 ペンギン・ハイウェイ 2018年8月17日
次点 リズと青い鳥 2018年4月21日
次点 アラーニェの虫籠 2018年8月24日
次点 のんのんびより ばけーしょん 2018年8月25日
次点 HUGっと!プリキュア・ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ 2018年10月25日
次点 アリー/スター誕生 2018年12月21日

 個人的に当たりは多かった、けどそこまで決定的な1本はなかなかなかったんですが、最後に理想的すぎるホラー映画が来てしまい、一発でノックアウトでした。本気で怖いので、万人にはお勧めしづらいのが悩みですが、間違いなくホラーのマスターピースのひとつになると思う。

 2位はアカデミー賞受賞作、というのが我ながら凡庸ですが、そもそもギレルモ・デル・トロ監督は前々からオタク精神剥き出しで映画を撮り、そこにフリークスへの愛情を籠めてきた、いわばマニアの星みたいなひとです。そのひとが最高の栄誉を受けたのですから、喜ばないわけにはいかない。内容的にも監督の集大成に近く、やっぱり拾っておきたかったのです。

 3位も話題となったカンヌ映画祭パルム・ドール受賞作ですが、やっぱりこれも是枝裕和監督の集大成のような内容であり、その上で衝撃も深みもある。やっぱり文句がつけられません。

 4位と5位は今年いくつかあった、子供を中心とした映画の個人的ヒット。4位はそこに監督ならではの日本への愛着を籠めた一風変わった世界観に惹かれました。いっぽう5は、映画ならではの表現を多用し、個人的な冒険をまるで時間旅行のように演出してしまった手腕に脱帽。

 6位と7位は創意工夫の勝利みたいな作品。日本で一大ムーブメントを起こした7位は、やっぱり外したくなかった。

 8位9位は今年のアクション映画ツートップだった、と思ってます。それまでのシリーズの出来事も回収しつつスタントのアイディアもふんだんに盛り込んだ8位、あまりにもインパクトが強かった作品の続篇、という重圧をはねのけきっちりスケールも趣向も割増しで楽しませてくれた9位、どちらもまだまだシリーズとして楽しませてくれそうなのがまた嬉しい。

 上位には入れられなかったんですが、しかし今年はアニメのあたりが非常に多かった。個人的にそのトップが10位に掲げた愛しきジュヴナイルSFなのは私にとって揺るがないんですが、どーしても落とすのが惜しい作品をまとめて次点に突っ込みました。特に『HUGっと!プリキュア・ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ』は、これまでシリーズを追ってきた者にとってあまりにも素晴らしい作品だったので、どうしても外したくなかったのです。

 12月28日から3日間続けて映画感想をアップしたのは、滑り込みで仕上げた『アリー/スター誕生』がベストに入る、と考えたからなんですが、いざ並べてみたら上位にはもうひとつ食い込めなかった。それでもやっぱりいい作品には違いないので、とりあえず次点に置いてみました。

 ほかにも面白い作品、拾っておきたい作品はいっぱいあったんですが、切りがないので、とりあえず現時点ではこんな感じ。

 あと次点

私的ベスト10(2017年以前に公開された作品)

地獄の黙示録 劇場公開版<デジタルリマスター> 1980年2月23日
ソフィーの選択 1983年10月15日
用心棒 1961年4月25日
椿三十郎(1962) 1962年1月1日
AKIRA 1988年7月16日
影武者 1980年4月26日
東京暮色 1957年4月30日
恐怖の報酬【オリジナル完全版】(1977) 2018年11月23日
晩春(1949) 1949年9月13日
10 麦秋 1951年10月31日

 今年は古い作品もけっこう観たので10本挙げてみた……けど我ながら偏りすぎ。黒澤明と小津安二郎が3本ずつって。

 いつかスクリーンで初体験することを夢みていた『地獄の黙示録』はやっぱり凄い作品でした。誰かが「これは生き物だ」と評していましたが、本当にその通りだと思う。

 2位はたぶん唯一無の視点から描かれたホロコースト、というのもさることながら、非常にビターな青春ドラマとしても優秀で、思っていた以上に胸に響いた1本でした。

 ここから『AKIRA』を挟んで黒澤明を三つ並べてしまった。中でも『用心棒』がトップなのは、この人を食った主人公のキャラクターが続く『椿三十郎』よりも明瞭だったことと、圧倒的な爽快感がツボだったため。これこそ本物の娯楽映画でしょう。

 続いては小津安二郎が3作。なかでも『東京暮色』をトップに掲げたのは、ほぼ同じテーマを綴っている小津作品において、いささか品性を逸脱するくらい悲劇性が強いんですが、それ故にエピローグの虚しさが際立っていたので。その悲劇性すらも内包してしまった遺作『秋刀魚の味』が最高傑作、という評価は私の中で変わってないんですが、作品としてはこの『東京暮色』がいちばん好きかも知れない。ダウナーになりますが。

 今年初めてオリジナル版の体裁で劇場公開が叶った『恐怖の報酬(1977)』は、冷静に考えると2018年公開のランキングに加えるべきなんですが、今年公開になったのは不幸な経緯でしたし、時代を超える傑作だと思うからこそ、こっちに加えることにしました。

2019年の展望

 来年も、現時点で観たい作品が目白押しです。

 まずは年明け早々、M.ナイト・シャマラン監督のミスター・ガラス』(Walt Disney Japan配給/1月18日公開予定)が待っている。初期の傑作『アンブレイカブル』と、新生シャマランの問題作『スプリット』を受けて発表される、シャマラン流“ヒーロー論”の集大成。果たしてどう大風呂敷を畳んでくれるのか、いまから楽しみです。

 これと同じディズニーで公開される、メリーポピンズ リターンズ』(Walt Disney Japan配給/2月1日公開予定)も実はかなり楽しみ。常々、『メリーポピンズ』は現代の技術でリメイクするべきだ、と思ってたんですが、過去の名作はそのまま温存し、現代の技術で続篇を作る、という方向に舵を切ってきた。予告を観る限り、オリジナルへの敬意にも溢れているようなので、ものすごく期待してます。

 そしてディズニーと言えば“アベンジャーズ”です。今年の『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の衝撃は、悔しいけれど来年いっぱいくらいは追わざるを得なくなる。キャプテン・マーベル』(Walt Disney Japan配給/3月15日公開予定)からのアベンジャーズ/エンドゲーム』(Walt Disney Japan配給/4月23日公開予定)までの流れは少なくとも必見でしょう。個人的にちょっと食傷気味だったんですが、とりあえず『アイアンマン』から連綿と続いてきたサーガは一段落する、ということなので、その意味でも。

 もちろん他の配給会社にも期待作はあります。東宝だと湯浅政明監督のきみと、波にのれたら』(東宝配給/6月21日公開予定)、そして新海誠監督の天気の子』(東宝配給/7月19日公開予定)というアニメにまず目を惹かれますが、やっぱり私がいちばん注目したいのはハリウッド版ゴジラ第2作GODZILLA キング・オブ・モンスターズ』(Warner Bros.×東宝配給/5月31日公開予定)だったりする。最先端の技術で描かれるキングギドラとモスラがとっても楽しみです。

 ほかにも、『ラ・ラ・ランド』のデイミアン・チャゼル監督の新作ファースト・マン』(東宝東和配給/2月8日公開予定)や、『SAW』のジェームズ・ワン監督がヒーロー映画でも手腕を振るったアクアマン』(Warner Bros.配給/2月8日公開予定)、ミニシアター系でも聴力だけで事件の謎を解こうとするギルティ』(PHANTOM FILM配給/2月22日公開予定)が気になる……という感じで、多忙や体調不良で満足に行動出来ない状況でもアンテナに引っかかる作品は色々あります。

 来年もきっとこんな感じでずーっと映画の話ばっかりしてますが、どうかお付き合いいただければ幸いです。

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