50周年にアルバム2枚目って。


さだまさし『なつかしい未来【初回限定盤】』

 きのう届きました、さだまさし50周年記念最新アルバム。4夜連続コンサートとかは色々と追っつかないので断念しましたが、アルバムはちゃんと買います。
 極めて簡潔で透明感と統一感のある仕上がりが特徴的だったグレープ名義での新作と比べ、こちらはさだまさしという人の多彩な音楽性がが反映されている。盟友・渡辺俊幸が書き下ろし、清塚信也がピアノを演奏した序曲、20年前にスペシャルユニットの1曲として楽器演奏まで収録しながらお蔵入りになっていた倉田信雄の『はてしない恋の歌』、WBC優勝の喜びをパーカッション担当の木村“キムチ”誠作曲で表現した『マイアミの歓喜もしくは開運』と、お馴染みのメンバーによる曲を挟みつつ、それでもちゃんとすべて新曲である。まあ、去年突如として始めたラジオ番組では4月頃まで「間に合うのかこれ」と言ってた気はしますが。
 コロナ禍で曲の書き方を忘れた、と言いつつもやっぱりらしさは消えていない。世の中に蔓延しつつある傍若無人を旋律は穏やかに、しかし熱を蓄えたアレンジで演奏する『ドレスコード』や、こちらはすべてを力強く歌いあげる『愛によって』みたいな、エレキギターも採り入れた楽曲もあれば、前述の『はてしない恋の歌』や『私の小さな歌』の、極めて絞り込んだ編成での抒情的な曲もある。語彙も豊かに過ぎゆくものを慈しむ『中秋無月』
 アルバム全体に漂うのはもう揺るぎのない《さだまさし》という音楽世界。追い込まれてたのに堂々たる仕上がりです――っていうか、もしかしたら、そこまで追い込んでいるから、核に近い部分が浮かび上がってくるのかもね。
 ちなみに、ひとまわり聴いた現段階でいちばんのお気に入りは『はてしない恋の歌』。最近、少ない音数で情緒豊かに奏でる曲に弱いです。しかもリズムがウッドベースのみで、ジャズのような風合いがあるから尚更に私の好みだったりする。

 初回限定盤には、昨年神田共立講堂で実施されたグレープ復活コンサートの模様をダイジェストにしたものと、『主人公』『ペンギン皆きょうだい2020』のミュージックビデオ、そして昨年リリースしたアルバム『孤悲』のトレーラーを収録。コンサートの部分、尺に限りがあるので仕方ないんだけど、出来れば1曲まるまる聴けるものも入れて欲しかった。全部1番だけだった……まあそのぶん、相変わらずよく喋るさだまさしと、振り回されて困惑しつつ、ちゃんとサポートする吉田政美の漫才みたいなやり取りがいっぱい収録されているので、観ていて楽しい。

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