12月12日に、2021年11月リリースの『心霊闇動画59』を鑑賞。海外に旅立つ友人のための動画撮影中に不気味なものが映り込む《お別れのビデオ》、ハイキング中のカップルが下山中に発見した恐怖《山の中の廃車》、奇妙な体験をした旅先で撮った怪奇映像《ロフト》など、全篇を収録。
今回、『封印映像55 かみよもじ』と続けて鑑賞してみて初めて気づきました――怪奇ドキュメンタリーとしてはこっちのほうがまだ説得力がある。
肝心の怪奇映像での行動に大きく不自然なところがない、というのもありますが、よりポイントが高いのは、インタビューを受ける投稿者や関係者の物言いが、いい具合にたどたどしい、ということです。文章にするとぎこちないけれど、事実や経験について語ろうと努力しているひと、と捉えれば、こういう話し方になるのが当然なのです。詰まるところ、撮影の時点での演出次第でどうにでも出来る部分ではありますが、少なくともこのシリーズのスタッフの方が“作り方”をわきまえているのは感じる……よりヒドい作品を先に観てしまったからこそ感じただけで、映像の物足りなさ、掘り下げの甘さ、といった欠点は相変わらずなんですが、わざとらしさが少ない分まだまし。
そんな中で、惜しい、と思うのは巻末の《ロフト》です。省力量産スタイルのこのシリーズでも、巻末にはちょっと力の入ったエピソードを収録する傾向にあって、こちらも映像にまつわるエピソードがやや込み入っている……ただ、それが肝心の映像で記録された怪異とどう関係するのか? があまりにも不透明すぎて、印象が分離してしまっている。取材でもうちょっと関連を印象づけるか、深く踏み込んで欲しかった。
実はその意味ではしっかり掘り下げているのが『お別れのビデオ』なんですが、こっちはこっちで、ここまで話が聞けてるのに、関係するエピソードに出てくる場所を調べて因縁を探る、程度のことをしてないのが物足りない。リリースの早さが売りである分、各篇のクオリティに変なムラが生じやすいのかも知れません……やっぱりもうちょっとペース落とした方がいいんではないのか?
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