12月29日に、2022年3月リリースの『心霊闇動画63』を鑑賞。友人同士で湯上がりの会話に興じていた際の恐怖体験の記録《日帰り温泉》、サークル合宿で訪れた別荘で歓談しているときに思いつきで始めた遊びが異様な展開を見せる《押入さんが転んだ》、旅行中に何気なく訪れた海岸でカップルが遭遇した恐怖《真夜中の海》など、全6篇を収録。
怪奇映像は映像そのものの怖さもさることながら、投稿者や関係者へのインタビュー、撮影場所の取材などによって背景を掘り下げることで増す怖さが重要、というのは私が前々から主張していることですが、そういう意味ではここ何巻かのこのシリーズはけっこう見所のある仕上がりになっている。
映像の異変そのものは相変わらず「ん~?」と首を傾げたくなるものが多い(特に《VR》はなあ……)のですが、ちょっと長めのインタビューが収録されたエピソードについては、なかなか見応えがあるのです。奇妙な映り込み以前に、記録された現象が既に怪談として成立している《押入さんが転んだ》、シチュエーションだけで充分に怖い《真夜中の海》はなかなか評価出来る……惜しむらくは、どっちも撮影された現場の取材があれば、より怖さを煮詰められたのでは、という点ですが、毎月リリースする速度の代償として、制作時間・製作費用ともにだいぶ制約があるっぽいので、そこはやむなしかな、と。制約が厳しいなかで、これだけ雰囲気を作れるようになったのは、たぶん経験値の為せる業でしょう。
でも、ここまでエピソードとしての面白さが引き出せるようになったのなら、尚更に本数を絞ればクオリティを上げられるのに、と勿体なく思えるのです。《質問コーナー》で馬脚を露わすよりは、リリース数を減らしたほうがいいのではなかろうか。そもそも今回は《質問コーナー》自体無かったけど。
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