思ってた以上に、ヤバかった。

テレビ放送開始69年 このテープもってないですか? | TVer
今や保存されていない貴重な番組録画テープを視聴者から募集・発掘する当番組!当時の貴重映像をそっくりそのままお届け!サブカルチャーに造詣が深い いとうせいこう、そして、いまドラマにバラエティに引っ張りだこの井桁弘恵(平成9年生まれ)を迎えます!当時を知る方も、全く知らないZ世代の方も、ぜひご覧ください

 ……一昨日に言及した『テレビ放送開始69年 このテープもってないですか?』、けっきょく翌日には観てました。作業はまだ詰まってましたが、4日に通院した際の処方箋を5日に薬局で出してもらったため、恒例の薬の袋分けをする傍ら、がっつり鑑賞したのです。
 ……これは、ヤバい。
『Aマッソのがんばれ奥様ッソ!』は。映像のなかに隠された描写が、特別映像で明かされる恐るべき結末に辿り着く、というミステリ的構造でしたが、こちらは発想がホラー。もうテレビ局にもストックされていない過去のテレビ番組映像を視聴者から提供してもらい紹介する、という体裁で、実質、とある深夜番組を3回に分けて復活させる、みたいな展開なのですが、これが実に怖い。
 登場人物がひたすら悲鳴を挙げてる、とか、随所でビックリさせるような描写がある、という類のものではない。最初は如何にもバブル期にあったんじゃないか、と思わせる、際どい言動が随所で見られる進行のなかで、ぽつぽつと異様な会話、異様な投稿映像が混ざってくる。そのうちに、この深夜番組の出演者にも奇妙な振る舞いが増え、扱われる映像は更に異常なものになっていく。
 そしてそれが、令和の現在、スタジオで過去の番組を見ているいとうせいこう、井桁弘恵らにも影響を及ぼしていき、第3になると過去の番組も現在の番組も狂気としか言えない有様になる。こちらは予備知識があって観てるからいいものの、本当に何も知らず、NHKでもやっているような、アーカイヴの貴重な映像を楽しむつもりで鑑賞してしまったひとは戸惑うか、その常軌を逸した流れに本当の恐怖を覚えるのではなかろうか。
 終盤にはもはや意味不明の会話、映像が展開するばかりなんですが、そこに不思議な一貫性があるのも怖い。恐らく、過去の番組にて奇妙な動画をいくつか投稿してきた人物が仕掛け人、という考え方なのだと思いますが、その目的がうっすらと透け見えるのが不気味なのです。
 こちらもネット配信のオリジナル映像がリリースされていますが、『~奥様ッソ』のように、そちらで物語が完結する、というものではなく、何者かの悪意、狂気をより際立たせる代物なので、無理に観る必要はない。目の前で完成される“呪い”に遭遇するような、言い知れぬ怖さの味わえる意欲作です。
 ……しかし、最後まで観ないと本篇がほぼフィクションである、と解らない、というのはけっこう厄介な問題点かも知れません。なにも知らずに観てこそいちばん効果がありますし、最後の最後で、一部を除いてフィクションである、ということが明かされて、ちょっと安心もしますが、やっぱり本当になにも知らずに、耐性のない方が観てしまう可能性があることはまあまあなリスクを伴う。こういう実験精神は大好きですが、地上波では難しいのではなかろうか……不意打ちで巡り逢ったら、私は歓喜してしまうと思うけどね。

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