珍しくもない音が、恐怖を生む。[レンタルDVD鑑賞日記その819]

 6月10日に、2023年1月リリースの『ほんとにあった!呪いのビデオ99』を鑑賞。花火で遊んでいた家族を襲う不気味な出来事《笑う女》、観光地を旅するカップルの和やかな映像にあり得ないものが記録されていた《合わせ鏡》、心霊スポットと言われるトンネルを訪ねた男女3人が撮った怪奇映像を調査するうちに想定外の事態が起きる前後篇《怨音》など、全篇を収録。
 ……ようやく届きました。既に101もリリース済、ひと月も経てば102巻も発売します。えらい時間かかったな……。
 いっときに比べると出来映えが不安定になった、とは言い条、依然として元祖であることに違いはない。月イチのハイペースで追いすがる『心霊闇動画』のように安易な展開の繰り返しではなく、毎回どこかしら変化や工夫があって、見応えは格段に上です。
 たとえば〈ロボット掃除機》というエピソードは、その上にカメラを載せて撮影した映像、というユニークな視点と、このシチュエーションならではの異変に怪異が織り込まれる。《合わせ鏡》はまた意外なところにある合わせ鏡を、何気なく置いたスマホが撮影したことで怪異に触れるきっかけを生んでいる。肝心の怪異じたいにそれほど突出した個性がなくとも、シチュエーションが違っていれば充分に興味深くなるのです。代替わりを重ねながらも、この点はしっかり貫かれているのは、プロデューサーがきつちりしているからでしょう。
 今回もある前後篇のエピソード《怨音》は、投稿映像のシチュエーションそのものはありがちなんですが、思わせぶりな導入と、投稿映像にある謎、撮影場所に赴いてもなかなか背景は判然とせず、別の出来事に遭遇する。しかしそれが硬変になって思わぬ展開をする、という、やや長めの尺に相応しい膨らみ方を示す。
 結論を放り出したかのような取材の終幕と、最後に添えられた映像が微妙に思えて納得がいかない、という方もたぶん少なくないでしょうが、取材対象への姿勢としても、スタッフにとっての安全面においても、この判断は間違っていない。そして、それ以上踏み込むことを禁じたがゆえの居心地悪さは、れっきとしたホラーの味わい。よく考えると最後の映像が本物の“呪いのビデオ”になる可能性を秘めている分、実にタチも悪い。
 全体として、決して最盛期のクオリティに届いているとは言い難いものの、元祖だからこその面白さ、魅力を留め、現代的にアップデートする努力は感じられる。怪奇ドキュメンタリー界隈で、まだまだ地位を保ち続けるシリーズです。
 というわけで次はいよいよ100巻……だが実は、本巻のリリースから5ヶ月を経た2023年6月現在、まだ発表はされていない。発売元のサイトにある101巻の紹介に、「「ほんとにあった! 呪いのビデオ100」は2023夏劇場公開予定のため、「ほんとにあった! 呪いのビデオ101」を先行リリース致します。」と付記してあるので待っているのですが、まだ情報は出てないのです。経験則からすると、油断するといつの間にか情報が出ていつの間にか近くでの上映終わってる、というパターンが多いので、あちこちこまめにチェックせねば。かかるとすれば、55巻をかけたユーロスペースか、夏場にホラー系の企画をしばしば実施するキネカ大森かなぁ……?

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