6月24日に、2017年8月リリースの『心霊曼邪羅3』を鑑賞。夜の河川敷を歩いていたカップルを見舞う恐怖《異界へ誘うモノ》、当時中学生だった投稿者が、近所の浴室を覗き見した際に遭遇した怪異《覗くもの》、人気のない場所で投稿者が執拗に道を訪ねた女性の正体《人形塚のおぞまし》など、全11篇を収録。
今巻も充分に楽しめる内容でした。
いやまあ、ツッコもうと思えば幾らだって出来ます。合成っぽいわざとらしさ、カメラを意識しすぎた怪異のあり方とか、どうしても違和感の拭えない描写も散見する。
ただ、それを踏まえても、シチュエーションに変化、工夫が多く見られるのは評価出来る。本物だとしたら厳選してると思うし、フェイク出会っても、多くのアイディアを盛り込む意欲が認められる。満点ではないにしても、ちゃんとリアリティに配慮しているのも好感が持てるところです……その辺もだいぶ怪しくなったシリーズ増えてきちゃったし……。
怪異の出方はややワンパターン感が強くなってきたものの、シチュエーションと展開は多彩で、ドキュメンタリー部分の付け足しがなくても充分に雰囲気を味わえるのもポイントが高い。たとえば、交際相手に自殺を仄めかして関心を惹こうとする女性の動画とか、露骨なところから覗きを試みる男子ども、といった生々しいシチュエーションは、そのあとの怪異が恐怖であると同時に必然でもある、という印象を齎すので、作品として成立している。
特に巻末の《人形塚のおぞまし》が、そうした良さが詰まってます。客観的に見れば嫌がらせとしか思えない執拗さで道を訪ねる撮影者の前で、異様な動きを見せる女性。終盤で恐怖に見舞われるのも当然と思える。他方で、既に始まっている不自然さへの無頓着や、終盤の唐突さ、撮影者の反応に窺える違和感など、このシリーズの欠点も露わな作品ではありますが、短篇ホラーとして成り立っている。
その嘘に、全面的に付き合ってあげるにはまだ甘い。しかし、続けて観てもいいかな、と思えるくらいには仕上がってます。
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