こんな未来はイヤだ。

 プログラム切り替え直後の火曜日は午前十時の映画祭を観に行く日……雨が降ってていささか気乗りはしないんですが、日付を動かすとあとが面倒なので、観念してお出かけ。家を出るときは小雨、しかしどー考えても自転車は危ないので、電車利用です。
 今年からこの映画祭は、タイトル通りの午前十時からの上映に縛らず、各劇場の裁量に委ねている。そのため、早いと午前8時、場合によっては午後に始まることもある。本日の映画、TOHOシネマズ日本橋での上映は午前11時20分。しかも上映時間は2時間20分超え……いつもと同じ感じで行くと、食事は午後2時になってしまう。空腹との格闘を並行したくないので、早めに現地入りし、さっさと食事してしまうことにした。
 最近よく利用する日本橋ふくしま館のイートインは、いちばんお気に入りの喜多方老麺まるやが出店している。文句なくここで食べればよし、と思っていた。
 ……なんとなくやな予感はしてたんです。ふくしま館が10時半に開いたとしても、イートインの提供が始まるのか同じ時刻とは限らないんではなかろうか、と。
 案の定でした。11時からの提供、と店頭に書かれてました。
 開映は11時20分、普通に考えて、ここで食べてたら間に合わなくなる。諦めて別のところで食事を摂ることにしました。幸い、前からしばしば立ち寄っている神田らぁめん悠が、朝から営業している、という看板を通りがけに見ていたので、そちらで済ませることができました。

 無事に余裕を持って駆けつけたTOHOシネマズ日本橋にて鑑賞した、午前十時の映画祭11今コマの作品は、異才テリー・ギリアムの名を世界に知らしめた代表作、情報統制された近未来をコミカルに、グロテスクに描いた『未来世紀ブラジル』(20世紀フォックス初公開時配給)。これもずーっと観る機会を窺ってた1本でした。
 終始「なんじゃこりゃ」と呆気に取られる怪作でした。1985年当時としても特異な近未来像、そこで繰り広げられる珍妙な事件と人間模様。入力や伝達手段はアナログなのに高度な情報管理をしようとしているシュールさ、当然のように起きる事故とその雪だるま式の悪化ぶりに、並ならぬディストピア感が溢れてきます。描写はひたすらユーモラスで、笑いも湧いてくるんですが、だんだん怖くなる。尋常でない世界観に、ストーリーの予測がつかない。
 ただ、中盤あたりから、意外性や特殊性に慣れてしまって、少々倦んでくる。なにせ、冷静に考えて筋の通った展開はほとんどしないので、次第に没入感を損なっていくのです。クライマックスはなかなか興奮しますし、結末がもたらす余韻も凄まじいのですが、初見から面白い、というよりは、この世界観にハマって見返していくごとに面白さが増してくる、まさしくカルト作という趣。

 映画鑑賞前に食事を済ませているので、観終わったあとはまっすぐ帰宅。変な時間に食べたせいか、まだ口寂しかったので、用事を済ませて帰宅していた母と一緒に、昨晩の残りのおでんをつまみました。

コメント

  1. […] 原題:“Brazil” / 監督:テリー・ギリアム / 脚本:テリー・ギリアム、トム・ストッパード、チャールズ・マッケオン / 製作:アーノン・ミルチャン /  […]

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