夜中に、灯りもなしでどうやって辿り着いた……?[レンタルDVD鑑賞日記その944]

心霊盂蘭盆14 神楽歌の形代(Amazon.co.jp商品ページにリンク)

 5月9日に、2020年11月リリースの『心霊盂蘭盆14 神楽歌の形代』を鑑賞。投稿者が新人のテレビマンだった時分に企画したドキュメンタリー番組で遭遇してしまった怪異《彷徨う少女》、夜にひとり歩く同級生を見付けた投稿者たちが撮影した怪異《サリエルの誘惑》、一連の映像の根源にスタッフが迫っていく《神楽歌の形代》など、全5篇を収録。
 このシリーズは、複数のパートに分かれていますが、基本的には繋がりのある事象を取り扱っている。姉妹シリーズ『心霊曼邪羅』と同様、展開のリアリティという部分で難を孕んでいますが、連作という形で長篇となり、特定の要素を深掘りしている分、物語として厚みが生まれ、ホラーとして楽しめる。
 今回も、序盤から色々とツッコみどころはあれど、全体でひとつの大きなエピソードとなっているので、見応えはありますし、面白かった。
 興味を惹くいちばんの要因は、家出少女、人形、そして一軒家と、繋がりあう要素が明白で、採り上げる映像が時系列に沿っていないため、視聴者がある程度は読み解くように組み立てていること。この巻はそれが比較的うまく行っているので、引っ張られて鑑賞してしまいます。展開の異様さが掻き立てるおぞましさにも惹きつけられる。
 ただ、それでもやはり、作りとしては色々、疑問を呈さざるを得ない。冒頭の《彷徨う少女》は、家出している少女たちを保護し対応する、というNPOを取材した、という設定ですが、発見した際の手順があまりに素人臭い。普通、あれでは警戒されるぞ。保護に使用している古民家で撮影が実施されているのが居間とその周囲だけで、保護施設としての雰囲気をまったく感じないのも妙だし、何より、怪異が起きたとき、撮影者の反応がぜんっぶ不自然。まず目の前で起きている、怪異現象ではない現実の事件を気にしてくれ。あとから現れた人物も、立場からすると反応が拙すぎ……序盤の描写と並べると筋が通ってる、とも言えるけど。
 この舞台となる古民家は、その後も別のかたちで登場しますが、使われ方が異なっているはずなのに、“同じところで撮っている”とすぐ解るくらいに似たり寄ったの状況、というのも不自然なポイント。設定を踏まえれば、それぞれの動画が記録された時期には隔たりがあるし、利用の仕方も違うのですから、家具が古びたり汚れたり、そもそも家具自体が増えていていいはず。シチュエーションは考えたけど、それをリアルに感じさせる工夫が足りてない……現実として、そんなに予算も時間的余裕もない、という背景があるんだろうな~、とちょっと察しはつくんですが、それにしても、である。
 そして何より、クライマックスとなる《神楽歌の形代》で採り上げられる、いちばん重要な動画がどうにも残念。ショッキングな瞬間なんですが、もしこれが十歳に起きたなら、付随する騒ぎも映像、音声として記録されているはずが、それが物足りない。
 たぶん制約が数多あるなかで、複数の人物、視点が絡むドキュメンタリー・スタイルのホラーを作り上げたことは評価したい。でも、理想にはまだまだ遠く及ばない。

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