因果はどこからともなく巡ってくる。[レンタルDVD鑑賞日記その910]

白石晃士の決して送ってこないで下さい2(Amazon.co.jp商品ページにリンク)

 9月25日に、2024年5月リリースの『白石晃士の決して送ってこないで下さい2』を鑑賞。《カラメ》と名乗る人物から白石晃士監督に送りつけてきた映像。そこに映っていたのは、前巻で採り上げた映像の主人公、ケイスケとユキだった。映像に起きた怪異もさることながら、映る二人の様子に不審を抱いた監督は、二人やその周辺の人物に取材し、背景を探る……。
 2巻に分けているから、てっきり違う内容なのか、と思っていたら、普通に続きでした。ただし投稿者は異なり、何故こんなものを撮ったのか、目的も解らない。挙句、白石監督に直接連絡してきて、「お前の仕事をしろよ」と威してくる。怪異もさることながら、まず搭乗人物がエキセントリックで不気味、というのはホラー映画監督としての監督の真骨頂でしょう。
 今回、明らかに言動に不審な点の多いケイスケの過去を、かつて出禁になったバーや、交際していた女性に取材して浮き彫りにしていくのですが、正直に言えば、この辺はわりと想像通りでもある。前巻の言動、仄めかしている過去からすれば、まあこのくらいのことはあるだろうな、と……まあ、予想よりかなり酷いんですけど。
 それでも、二人の交際は二人の問題として、監督は過剰に介入はしない。しかしその結果、クライマックスとなる映像に繋がる。前巻で仄めかした要素とリンクし合った結果、事態はおぞましい形で収束していく。ある意味では当然の結末ですが、ここに至ってはケイスケがちょっと憐れになります。酷い男だし、ある意味、自らの振る舞いが跳ね返っているだけではあるけれど。前巻に比べると、抗いようのない恐怖を形にしつつ、一種のカタルシスにまで昇華する手管はやはり白石監督らしいものですが、個人的には、後半は必ずしも要らなかったかな、とちょっと意地悪なことを思ったりもする。謎の第三者が絡んできて、劇的な変化を齎すのは解りやすくフィクション的で、フェイクとはいえドキュメンタリーの手法を採ってリアリティを表現するなら、トリックスターは必ずしも要らない。
 まあ、あくまでも私の好みですし、この締めくくりが面白いか否か、と問われれば、間違いなく面白かった。前巻以上に白石晃士という作り手の作家性が発揮されていて、『ノロイ』以来、白石監督作品を20年観てきた者としては満足してますし、シリーズが継続するならまた観たい。メインのカップルと、過去から発掘された映像との繋がりや、《カラメ》の立ち位置が明瞭でなかったことは、続篇を仄めかしているような気もするし。映画版『近畿地方のある場所について』のヒットで、また忙しくなってしまいそうな気配がありますが、メジャー作品をどれだけ手懸けようと、メジャーではやりにくい尖った趣向の低予算作品を完全に捨てることのなかった監督なら、やってくれるって信じてる。

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