見えてる世界が狭すぎる。[レンタルDVD鑑賞日記その963]

封印映像78 異世界カメラ(Amazon.co.jp商品ページにリンク)

 9月16日に、2025年7月リリースの『封印映像78 異世界カメラ』を鑑賞。古い記憶をもとにタイムカプセルを掘りに行った男性の異様な記録《タイムカプセル》、怪現象を引き起こす低周波を、心霊スポットで鳴らすという検証動画《ゴーストサウンド実験》、キャラ弁の報告動画がいつの間にか不気味に変わっていった《グロ弁》、都市伝説的な怪奇映像と似た現象の起きる場所で実験を試みた兄弟を追う表題作の全4篇を収録。
 うーん、今回もツッコみどころが多い。
 冒頭にしてからがだいぶおかしい。タイムカプセルを掘りに行った男性が自撮りで記録してしまった怪奇動画、というだけなら別に悪くはない……男性があまりにも不愉快だとか、終盤で起きる怪異があまりに合成っぽい、とかそういうのはどうでもいいのだ。
 問題は、まともであるべき投稿者とスタッフ、関係者、みんなあり得ない行動ばかりだということ。まず投稿者がどうしてこの映像を入手したのかから奇妙ですし、それを投稿しようと考え、インタビューまで受ける神経が異様すぎる。仮に投稿者が語る経緯までは受け止めるとしても、この場合、撮影をした男性に接触するのは不可能、或いは慎重を期すべきなのに、なんで安易にインタビューしようとするのか。しかも、よりによって動画のクライマックスの舞台に連れ出す、なんて真似をしたら、そりゃあ何か起きるに決まってるでしょ。何より、明らかに常識外れなこの提案を、投稿者以外に存在しているはずの“関係者”が認めてしまってるのもおかしい。たぶん大問題になるし、下手をするとこの投稿者、仕事を失ってるぞ。
 似たようなツッコみは《グロ弁》でも出来てしまう。動画そのものはよしとしよう。しかし、それ自体がグロいこの動画が、なんで放置されていたのか。投稿者は、配信されていたこの動画の視聴者、という設定ですが、ずっと動画の配信が続いていて、視聴者が他にいるのなら、たぶん誰かが騒ぎ立てるか、文字通りの意味で“通報”してます。しかも取材の中では、この配信は形を変えて続いている、という設定ですが……そんなことあり得る? この状況で通報も、問題提起すらしないスタッフもどうかしてますが、そもそも、ラストに示した結論に至った投稿者が、このシリーズに情報提供しようと考えますか? たぶん、外部には漏らさず、配信を鑑賞し続けてるだけのはずです。つまり、そもそもこのシリーズで採り上げられてることが根本的な矛盾を孕んでるんですが、それはスタッフの中で思い浮かびもしなかったの?
《ゴーストサウンド実験》についても、投稿映像だけならそこそこ面白いのです。しかし、投稿した人物が、この映像の撮影に関係している人である以上、投稿映像には使われていない映像素材も持っていたはずなのに、スタッフがそこに一切ツッコんでいないことにモヤモヤします。同時に回っていた複数のカメラの映像を編集してまとめている以上、あるカメラで怪異が記録されたその時点で、他のカメラが何を捉えていたのか、も記録として残っているはずなのに、検証材料として重要なこの映像の存在が気にならないって、作り手として素人すぎやしないか。
 こうして論ってみると、実は怪談としては比較的まともなのが表題作《異世界カメラ》なのですが、これはこれで、ベースとなっている投稿映像自体に不自然な点があって受け入れづらい。投稿者の弟が、奇妙なものの映るライブカメラがある場所に心当たりがあるから、と、ライブカメラの監視を投稿者に任せて、弟自身はその心当たりの場所に向かう。映像中の設定では、現地に着いた弟が、その場からテレビ通話でレポートしているわけですが――この設定で、投稿者が弟に、現地までの所要時間を聞くのはどー考えても不自然です。投稿者がいる場所から、弟さんが電話をかけてくるまでの時間が、そのまま現地までの所要時間ですよね? なんでわざわざ、電話口でもういちど訊いてるの? 10分くらいでかかってきた、ということなのですから、このとき、投稿者の発言として相応しいのは、「けっこう近くなんだな」ではないの?
 その辺の不可解なやり取りが、ちゃんと状況に即したものになっていれば、もっと話としては惹かれるものになったと思うのですが、明らかに気配りが足りてない。毎回、怪奇ドキュメンタリーの定番で終わらせない点は評価してるんですが、それを自然に見せる工夫をちゃんとしないと、アイディアも無駄遣いになってしまう。

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