3月22日のリポート。
日本橋界隈のラーメン店はあらかた巡った――というわけではなく、まだまだ未訪問の店はある。ただ、私自身の食の好みがけっこう限られているので、知ってはいてもいまいち惹かれない、という店も多い。思い込みで判断するより、いっかい試してみるべきだ、とは思いつつも。
ただ、ここはいずれ立ち寄りたい、とずっと思っていた店はある。そのひとつが、この神田とりそば なな蓮です。
日本橋にはもう1軒《なな蓮》がありますが、こちらはその鶏そば専門店、という位置づけらしい。なな蓮もいっかいしか訪れてませんが、美味しかったのは確かで、あのお店の系列で鶏出汁、というならたぶん間違いはない。実際、ネット上の評価も上々なので、ずーっと気になってはいた。
ただ、神田駅に近い、というわりには、これまで目につかなかった。先日、こんどこそ立ち寄ろう、と考えた際に改めて地図を読み、ようやく発見できたのです。確かに神田駅には近い、しかし普通は移動経路に使わないような路地を入ったところでした。これは知識がないと見つからない。
立地からそんな気配はありましたが、どうやらお店は昼夜二部制で、夜は居酒屋のような営業もしているらしい。それゆえに、土日祝日は休んでいる。前回、意を決して訪ねた際は見事に土曜日で、営業していなかった。今回の訪問は、その仕切り直しの気持ちもあったりする。
3月下旬とは思えぬ冷え込みで、マスクの上にある眼鏡を曇らせながらどーにか辿り着く。評判がいいので、混雑も危惧してましたが、既に昼休みの時刻は過ぎているからか、けっこう空いていました。
鴨出汁やつけ麺もあるなかで、私がまず選んだのは鶏そば醤油。セオリーとしては塩を選ぶべきなんですが、この日は日本橋ふくしま館に老麺まるやが来ていて、あちらも選択肢に入っていた――あの美味しい醤油ラーメンが意識の片隅にあれば、そりゃ醤油になるよね。
麺は細めのストレート……ネットでは縮れ麺、というのも見ましたけど、たぶん基本はまっすぐだと思う。スープに油っぽさがあるせいか、麺にかなりよく絡まって、スープの味わいを吸いあげます。
スープの味はコクも強いけれど後味はさっぱり。クドさがなくて、いくらでも啜れそうです……例によって、塩分摂りすぎになるので、完飲はしませんでしたが。
具材はチャーシュー、メンマに斜め切りにしたネギと三つ葉。特筆すべきはチャーシューで、やや強めに炙ってある。そのせいで噛み切りづらいですが、しかし肉の風味はしっかりと感じられる。スープに浸してたっぷり絡ませてもほぐれないから、普通のチャーシューよりも食べ応えはある。
分量的にも適度で、よほど食の細いひとでなければ最後まで快く楽しめる。それゆえに、塩分の摂取量に気を遣わねばならないかたは注意が必要です。私など、いつもの習慣で海苔をトッピングしたら、最後までスープが楽しめてしまうので、危うく飲み干すところでした……そんなこと言ってしまう時点でもう手遅れな気はするが。
店舗の面積が小さく、座席も少ないので、お昼時にぶつかると立ち寄りにくくなりそうですが、味は文句なし。日本橋での映画鑑賞のあと、特に新規開拓するつもりもない日に、選択肢の上位に加えてもいいと思えるお店でした。次の機会は塩のほうを頼んでみようかしら。
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