『地獄少女』第二十一話 優しい隣人

 ふたたびつぐみが見た、地獄少女閻魔あいの新たな依頼者は、柴田の先輩である村井の娘・優子。脱サラして山奥で農園を開いた村井であったが、慣れぬ農作業は捗らない。そんな彼ら親子を、関根という隣人がはじめは援助してくれたが、やがて彼の悪意が判明し……

 色々と踏み越えてきたエピソード。そういう意味ではようやく佳境らしさを感じさせる、のですが……相変わらず背景にリアリティがないのがどうも。親ひとり・子ひとりという状況で、親がああした形で死んだなら通常は不審死扱いで、確実に警察がいちどは立ち入ると思われます。結果として病死あるいは深酒が祟った事故死と判明しても、保護者のない優子を放置しておくはずはなく、彼女があんな惨状に取り残されていること自体が不自然。残されていたアドレスから親しい人には連絡を取ることぐらいはするでしょうし、世話になったはず(つぐみが優子のことを覚えていたくらいですし)の柴田なら何らかのルートで村井の死を伝えられたはずでしょう。従って、地獄通信にアクセスするにしても、あの場所にいたまま、ということはたぶんない。

 それから、相変わらず三人組の扱いが微妙。柴田にとんでもないところに捨てられるわあとで放置されるわ散々な藁人形=輪入道でしたが、ああいう異能の持ち主なら、何も捨てられたあと律儀に留まる必要はなく、そのまま優子の手の中に戻るぐらいの芸当をしてもいいでしょうに。普通のホラーならばそういう展開が許されるのに、中途半端に現実の軛に従ったりユーモラスに描こうとして破綻している印象。「何とかしなきゃ」と言いながらけっきょく何も出来ず(というか何もせず)、やっぱりこの三人は何の為にいるのかよく解りません。

 ただ、そういう不具合を除けば、狙いは悪くないエピソードでした。作画の荒れも許容範囲でしたし、あいの出番が少なかった代わりにゲストの優子の佇まいに雰囲気があり、ちゃんとオチもつけている。……それでも柴田の言動にいまいち説得力がないのがネックか。

 来週は、その柴田自身の過去の話らしい。いちおうは大詰めに来ているようですが、どうまとめるのやら。

コメント

  1. 冬野 より:

    オチと言っても「志村、後ろ、後ろー」ではさすがに……。前後編にして、わら人形を取り上げるまでをネッチリやって、後編で過去編でもやれば良かったのにと思った。

  2. tuckf より:

    いや、後ろよりも前にあるもののほうを。まあ、どっちにしても、そのタイミングで出ちゃ誘導しているも同然ですので、地獄通信の役割からすると微妙に間違っている気がしなくもない。
    あと、優子の話についてはああいうオチらしきものを設定せずに、次回でやるらしい柴田親子の過去の話に絡めて決着をさせる、というのもありだったかも……とここで書いても詮無い話ではありますが。

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