残り2本は、人生初の小津安二郎。

 デジタル化して3回目となる新・午前十時の映画祭も残すところあと2本です。切り替わり直後の月曜日に観る、というお約束が最後で崩れてしまいましたが、色々と考えると今日あたりに観ておかないとここに来て1本取り漏らす、という悔やんでも悔やみきれない事態になりそうだったので、ほんとーは今日あたり1日空けておきたかったのですが、無理矢理にねじ込んでしまいました。

 いつものTOHOシネマズ日本橋にて鑑賞したのは、いままでず〜っと観てみたかった小津安二郎監督作品です。1962年公開、平穏な人生を送る男性が、未だ独身の娘のために心を砕く姿を静かに綴る人生ドラマ秋刀魚の味』(松竹初公開時配給)

 世界的にも高い評価を受ける小津作品、念願の初鑑賞ですが、なるほどこれはいい。派手な事件はまったく起きず、市井のひとびとを淡々と綴っているだけなのですが、不思議なほどリズムがあって心地好い。とても優しく暖かいのに、そこから滲み出す儚さ、空しさが忘れがたい余韻を残します。こんなに淡々としているのに見応えがあって、もういちど観たくなる、というのはかなり稀有なことです。世界に認められているのも宜なるかな

 たぶん本番の感想では記さないと思うのでここで書いておきますが、観ていてびっくりしたのは佐田啓二です。前に写真でみたときはそうは感じなかったのですが、改めて観ると中井貴一そっくり。中井貴一が年齢を重ねることで父親の容貌に近づいていった、ということなのでしょうが、ここまで佇まいが似ているとは。いっそいま、中井貴一出演で撮り直してみたら……なんて馬鹿なことをちょっと考えてしまいましたが、いま撮るなら、笠智衆の役柄のほうが実年齢に近いのか。それはそれでアリという気もしますが。

 ちなみに最後の1本も小津安二郎作品の『東京物語』。『秋刀魚の味』がかなり琴線に響いたので、楽しみにします――あえて来週までに新宿で観る、という方法もあるんですけど、ここまで来たらホーム扱いしていた日本橋で最後は締めたいので我慢。

 ひと休みし、夕方に起き出したあとは、確定申告の書類の仕上げに努めました。必要書類はひととおり揃ったので、早めに還付してもらうために、さっさと申告するのです。

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