『サスペリア・テルザ―最後の魔女―』綾辻行人×矢澤利弘トークショー付上映atシアターN渋谷

 4月25日より、シアターN渋谷を皮切りに全国順次公開されるダリオ・アルジェント監督最新作サスペリア・テルザ―最後の魔女―』(KING RECORDS+iae・配給)。本当なら封切りか、翌週のうちには観ておきたかった1本ですが、シアターN渋谷にて毎週金曜日の最終回上映の際に催されるトークショー、3回目となる本日に、ダリオ・アルジェントを敬愛するミステリ作家・綾辻行人氏が参加すると知ったので、今日まで観ずにおきました。万に一つでも入場不可になると悔しいので、午前中にいちど訪問して整理券を確保、夕方に悠然と現地入り。

 綾辻氏は無論ですが、対する矢澤利弘という方も、アルジェントのファンサイトを運営し、2007年に『ダリオ・アルジェント―恐怖の幾何学』という研究書も刊行しているほどのマニアなので、話し始めると止まらない――観客のほうはこれから初めて鑑賞する、ということを配慮しなければならないので、奥歯に物のつまったような発言も目立ちましたが、その範囲で魅力を語る語る。アルジェント本人にインタビューもしていた矢澤氏は、この作品の中で死んだ母親が娘を護る、というシチュエーションがあるのを、アルジェントが本篇を構想している際に起きた出来事に基づいているのではないか、という興味深いエピソードも披露してくれ、聴き応えたっぷりでした。

 20分ほどのトークショーののち、本篇。私の感想は――なんで直前で綾辻・矢澤両氏が微妙な物言いをしていたのかよく解りました。お世辞にも傑作、誰にでも勧められる作品とは言いがたいのですが、ダリオ・アルジェントの作品を愛している者にはやたら魅力的なのです。『デス・サイト』で薄まってしまった分だけ、アルジェントらしい趣向を徹底的に詰め込んでいる。体臭が濃密な作品であり、好きな人は繰り返し鑑賞するほどに惚れ込みそうですが、ごく一般的な観客、アルジェントに拘りなくホラー好きと自称する程度の人は受け付けないと思います。私? 私は、もう1回劇場に行くかは微妙ですが、DVDが出たら絶対買う。Blu-rayならなお嬉しい。

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