『特別展 雪村−奇想の誕生−』を観てきた。

 先日、とある方からチケットをいただいたので、そのうち観に行こう、とは思っていたのです。しかし例によって雑事にかまけて遅れに遅れ、当初の予定ではきのう足を運ぶつもりでいたのに、バタバタに取り紛れてすっかり忘れてました。ひと息ついたときににわかに思い出したので、近くで別の用事があったついでに出かけてきました。

 会場は藝大の敷地内にある藝大美術館。戦国時代に活躍しながらもリアルタイムでの記録がほとんど残っておらず、実際の作品や、その画業に触れた後世の研究によって辛うじて窺い知ることが出来る、という有様にも拘わらず、後世の画家に多大な影響を及ぼし現代にも通じる作品を多数残した雪村周継という画家の作品を集めた展示会です。実際に雪村の影響で描かれた狩野芳崖の作品なども網羅している。

 あとの用事があるので30分くらいでささっと、くらいの気持ちで足を運んだのに、結構見応えがあって、1時間くらいじっくり鑑賞してしまいました。

 穏やかな図柄が基本だった山水画に暴風や高波などの荒々しい描写を採り入れたり、優れた観察眼で風物を緻密に描写しながらも構図のために敢えて非現実的な表現を加えたり、と確かにユニーク。流派というかたちでは確立しなかったにも拘わらず、いやだからこそ、感銘を受けた後世の画家たちに多大な影響を及ぼし、その痕跡は現代の日本絵画にも留まっている。確かに、これはいま鑑賞すべき画人だったのでしょう。

 エレベーターで3階→地下2階→地上2階から退出、という謎の順路の最後に売店とカフェがあるのがなかなか狙っている。展示を眺めているときから、初期の作品に登場する猫のモチーフをあしらったグッズがあれば買っていこう、と思っていたのですが、あったのは雪村の定番である布袋や呂洞賓、それに龍や虎といった図案のみ。仕方なく、虎の絵をあしらった一筆箋を母へのお土産として、図録とともに購入しました。……帰ってから公式サイトを見て、売店で3000円以上購入するとオリジナルの2色ボールペンがもらえる、と知ってしばし呆然。あとひとつ何か買っていれば……!

 なお、藝大美術館での展示は明日、というかこれをアップした時点でもう今日ですが、21日にて終了となります。しかし8月からは滋賀県MIHO MUSEUMでの展示が始まるので、興味がある方はそちらでどうぞ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました