あまりにもタイムリーすぎる“復活”。

 先週末あたりから都内の映画館も段階的に営業を再開しているのはご存じの通り、ですがしかし、いつ終息に向かうか判然としないなか幾つもの映画が公開延期となり、再開してもかけられる新作は多くない。そこで映画館や配給会社が色々努力をしたのでしょう、いずれの劇場も、ちょっと古い作品を採り上げている。東宝からは新海誠監督作品、ディズニーからはマーヴェル作品が供給され、古い作品だと午前十時の映画祭での人気作品がそのまんま継続してかかっている。
 今週はとにかく渇を癒やすべく、火・木・土に1本ずつ映画を入れるのは決めていた。もし前に観たものしかなくても観るつもりでしたが、上に掲げただけでなく、他にもけっこう思いがけない作品が再上映されている。そんななかに、意外と言えば意外、しかし同時にいま採り上げられるのも頷ける作品を見つけてしまい、もはや迷う余地はありませんでした――おととい鑑賞した『フィッシャーマンズ・ソング』とどちらを先にするか、は悩んだのですが、豊洲でラーメンを食べたい、という欲求に合わせ技に負けてしまった次第。
 本日の行き先は新宿です。電車内は色々とピリピリしてそうで乗るのには抵抗があるため、今回も移動はバイクです。今日も今日とて、朝はやたらとどんよりとした空模様で不安を煽られましたが、天気予報を信じてお出かけ。
 訪れたのは新宿ピカデリー。個人的にここは、劇場に着いてからのアクセスが劣悪なので、未だにあんまり好きではないのですが、かと言って無くなって欲しいわけでもない。せっかく気になる作品をかけてくれたので、今回はここを選びました。
 おととい訪れたユナイテッド・シネマ豊洲は1席おきの市松状に購入不能にするかたちにしてましたが、こちらは3席ごっそり潰すスタイルにしている。しかも実際でも座席にテープを張って着席できないよう徹底している。個人的には、ちょっと警戒が好きすぎてる気もしますけど、まあ当面は仕方ないか。
 鑑賞したのは、こういう機会だからこその特別上映、小松左京のSFパニック小説を、角川が莫大な予算を投じ、映画会社の垣根を越えた豪華なスタッフに国際的なキャスト、そして南極やマチュピチュなど大規模なロケを実施して実写化した作品、凄まじい感染力を持つウイルスの拡散により種の危機に瀕した人類を描く『復活の日』(東宝初公開時配給)。まさに“今”だからこその特別上映。
 これを観ると、いま猛威を振るってる新型コロナウイルスなんて大したことないな、と思ってしまいますが、それでいいんだろうか。いいのかな。
 いま観ると、その規模が羨ましくなるくらいの大作です。ミニチュアなどの特撮や似たような土地でのロケによる誤魔化しが少ないのが解る、圧倒的な映像の説得力。自然発生したウイルスではなく、兵器として開発されたウイルスであればこその爆発力で瞬く間に世界が崩壊していくさまが恐い……少々描写が大袈裟になってる感はありますが。中盤以降、生き残った者たちが種を繋いでいくために新しい秩序を作り出そうと藻掻く様を描いているのも、現状と比較すると決して他人事とは思えないリアリティがある。あまりにも規模が大きすぎるが故の大味さもありますが、SF大作はこうあって欲しいよね、と思う1本でした。

 鑑賞を終えると時刻はもう1時近く、血糖値が下がってフラフラしてきたので、劇場から比較的近い一蘭で食事を採りました。そろそろ新しいラーメン店の開拓も再開したいところですが、まだどこの店舗も手探りだと思うので、もともとある程度勝手を知っている店でないとまだ少々怖い。それ以前に、今日は早く食べないと身動き取れなくなりそうでしたから。
 食後、紀伊国屋書店に立ち寄る。きょうの映画がどれだけ原作と違うのか、を確かめてみたくなったので、平積みになっていた原作の文庫版と、途中で見つけた大杉漣の追悼本を購入。

 今週末から新作の封切りも順次再開されるので、ふたたび映画鑑賞は新作がメインになるはず。でも、出来ればこんな感じで、時節を鑑みた特別上映は続けて欲しいです。やっぱり大きなスクリーンで観るのは、家で観るのとは別物なんだもの。

コメント

  1. […] 原作:小松左京 / 監督:深作欣二 /  […]

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