『デブゴンへの道』……にはならなかった。

 前々から存在はキャッチしていて、日本に輸入されることを楽しみにしていた映画が、年明け早々の公開が決まったようです。
 主演は“宇宙最速の男”ドニー・イェン、監督はそのドニーのもとでスタントやアクション監督を何度も務めた谷垣健治。これだけで期待大ですが、ポスターや原題からすると、どうもドニーが特殊メイクで肥満体になり活躍する、という趣旨らしい。

 邦題は、『燃えよデブゴン/TOKYO MISSION』になりました。

 そう来るかい、とぶったまげましたが、どうも必然的だったらしい。何故なら原題は『肥龍過江 Enter the Fat Dragon』、これはサモ・ハン・キンポーの出世作『燃えよデブゴン』と同じタイトルですから、そもそもがこの作品のリメイク的位置づけ、しかも舞台が東京になっていたようなので、ほかに選択肢はない、とも言える。
 ……実は、公開情報が出る前から、私もたぶん“デブゴン”はつくだろう、とは踏んでいた。しかし、その場合は『デブゴンへの道』になるだろうな、と思ってたのです。何故なら、ブルース・リー自身の監督作品『ドラゴンへの道』の原題が“猛龍過江”だったから。
 しかしこの誤解も、そう考えていくと悪いのはサモ・ハンです。だって、『燃えよデブゴン』の原題は『ドラゴンへの道』を下敷きにしてますけど、英題に冠されているのは“Enter the Fat Dragon”、つまり『燃えよドラゴン』を下敷きにしたものなのです。原題と英題の元ネタがねじれているのだから、その知識を持たないまま今回の作品の情報に接したら、『デブゴンへの道』なんてのをひねり出すのも仕方ないってもんだ。ねえ。

 ……まあ、どのみち公開してくれるなら、邦題は別に何でもいいのです。色んなひとに観てもらって、長く続く可能性がちょっとでも高くなるなら何だっていい。
 配給はもはや香港アクション御用達のTWIN、日本での公開は2021年1月1日、まさかの元日です。今年は午前十時の映画祭もお休みなので、私の来年の映画はじめは早くも決定してしまった模様。

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