『まんが日本昔ばなし』第十八回

 約ひと月ぶりの放送です。……いや、いいんだけどね。じっくりと息長く続けてください。

  • 『花咲か爺さん』

 業突張りの爺さんに追われた犬を哀れみ、ポチと名付けて自分の家で飼うことにしたおじいさん。よく食べよく育ちよく働いたポチはある日、おじいさんを山へと導いていく。請われるままおじいさんがポチの示す場所を掘ってみると、何と大量の小判が出て来た。それを見た業突張りの爺さん、無理矢理ポチを連れて山へと連れて行き、力尽きたポチが倒れた場所を掘ったが、出て来たのは小判ではなく無数の化け物。怒った業突張りの爺さんは、ポチを殺してしまう――

 これまた有名な話――と思ったんですが、花を咲かせるまでにこんなに紆余曲折があるだなんて知りませんでした。確かに「ここ掘れワンワン」から灰を桜に撒くまで、そう単純な道筋でないのは解りますが、筋を通して覚えようとなんてしてませんでしたしー。

 花を咲かせるまでに至る道程は特異ですが、ベースは動物による報恩譚。しかし、その着想の飛び抜けた独創性がこの作品を昔話の中でも特に著名なものにしたのでしょう。オーソドックスな作画も好感触でした。

  • 『狸の手習い』

 寺にやってきた新しい和尚は、屋根の上で酒を嗜む変わり者。挨拶に来た村人が呆れて変えるなか、地元の子狸たちは興味を示して遊びにやって来る。子供好きの和尚は化けた子狸たちに手習いを施し、子狸たちは成果を競い合って賢くなっていく。その様子を眺めていた本物の子供達も、楽しそうな様子に憧れて一緒に学びたくなるが、和尚の変人ぶりしか知らない村人は反対する……

 愉快な話かと思いきや、結末は妙に切ない。ただ、その後を多く語らず、一緒に学んだ子供達が子狸たちを懐かしんで歌を作った、という結果だけを最後に置いたのは、豊かな余韻を留めていていい。

 人間と異種との交流は難しい、というテーマも民話や昔話には多いものですが、この描き方は出色。なんとなく切り絵風の背景も美しく、これまたいい作品でした。

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