『夢使い』第一話 夢始め、雨の教室

 まさかテレビで植芝理一原作のアニメが観られる日が来るとは思わなんだ。不安と期待を半ばしつつ鑑賞。

 学校のなか、雨が降る奇妙な教室という夢に囚われた森優花を救い出したのは、“夢使い”を名乗る三島燐子。彼女に促されて、童遊斎おもちゃ屋の主・三島塔子を訪ねた優花は、夏休みを境に消えてしまった少女・水野圭が彼女の夢に囚われてしまったのだ、と言う。異様な成り行きに拒否反応を示す優花だったが、塔子は手がかりを求めて夢の絵解きを始める……

 あら、思ったよりいいかも。原作よりも繊細で乙女チックな絵柄が、ときどき崩れながらもよく動いていますし、事件の背景となっている心象の描き方も良い。演出に一部雑なところがあるのと、終盤がただの化け物アクションしかも敵弱すぎ、という有様になっているのが気懸かりですが、原作にある変なこだわりをけっこう忠実に織りこもうとしており、全体的には好感触です。

 ……しかし、これで初めて作品に触れる人のお気に召すかはけっこう疑問だ。アニメとしては珍しく描き込んだ髪の毛とか目許の線とか、妙にインモラルな色気を発するタッチは内容云々を抜きにして魅力的だと思うんですけど。

 オープニング・テーマ及びエンディング・テーマはいずれも曲の出来はいまいち。オープニングはヴォーカルの力が弱すぎて劇伴にただ詞を充てただけという印象ですし、エンディングのほうは詞こそはっきり聴きとれるけれど如何せん素人の歌という感じ。いずれもアニメのテーマ曲っぽくはあるのですが、もうちょっと丁寧に作って欲しかった気がします。その代わり、背景は独特な雰囲気を湛えていて悪くない。

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