『クロサギ』#09

 ゆかり(市川由衣)経由で黒崎(山下智久)に依頼をしてきたのは、なりすましの被害に遭った辻本ひろみ(白川由美)という年輩の女性。ゆかりの勝手な行動でやって来た“事件”をはねつけた黒崎だったが、桂木(山崎努)から同じ標的を示唆されたために、やむなく乗り出す。敵は元女優、様々な人間になりすまして犠牲者を漁る冴島洋子(片平なぎさ)。黒崎は自らも財団法人の後継者を装って、冴島に接触を図る……

 ゆかりのビラがちゃんと伏線になっていたことは認める――認めるが結局何の処置もしない黒崎がとても天才的な(以下略)。依頼人とはいえ家の住所まで教えるような馬鹿はさっ(以下略)。いやそれ以前に、今回の依頼人が氷柱(堀北真希)憧れの先輩・夕有子(麗菜)の祖母だなんて人間関係狭すぎるだろーが!! しかもその設定にあんまり意味なかったじゃねーか!!

 なりすまし、という一件一件は被害額の少ない詐欺師から如何に大金を搾り取るか、という筋書きで、片平なぎさ演じる冴島および黒崎の裏表の演じわけは面白かったですし、途中までの展開は面白かったのですが――やっぱり決着が安易。なんでわざわざ犠牲者の前に自分から姿を現して説教する必要があるの。なんで二人が会ったところにあの人が登場するの。幾ら“芝居”だからって、法を利用した頭脳戦を描きたいならもうちょっと細部に気を配ってください。それだって充分ドラマティックに描くことは出来るでしょう、ていうか出来てこそシナリオの存在意義があるってもんでしょ。

 他方、相変わらず山崎努堀北真希は素晴らしい。こと今回、ラストシーンの黒崎と氷柱との対比は見事でした。片平なぎさの存在感も圧倒的で、それだけに杜撰すぎる話作りがひたすら惜しい内容。次回は“最強の敵”が登場するそうですが……今までが弱すぎただけじゃないのか?

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