2日連続の映画鑑賞、本日は試写会です。夕方にちょこっと早めに出かけて、三省堂を渉猟したのちに会場へ。
本日の作品は、25年前に公開され大ヒットとなった伝説的な映画を、監督である大林宣彦が自らリメイク、舞台を尾道から長野に移し、時代も現在へ、更にプロットにも大きなアイディアの変更を施して面目を改めた『転校生 さよなら あなた』(角川映画・配給)。
珍しく上映前に舞台挨拶のあるものだったのですが――これがどうもいまいちでした。司会の方は終始手にしていた原稿に視線を落としていて、そこはまあ許すとしても、原稿自体の推敲が行き届いていないようで文脈が実に聞き苦しい。要点だけまとめてあってそれを一所懸命自分の言葉にしようとして失敗しているならまだしも、原稿自体が乱れているのがありありとしていて聞いていて苛立ちました。
舞台挨拶には、一般オーディションでグランプリとなってヒロインを演じた蓮佛美沙子と、彼女と同じコンテストで準グランプリとなった関戸優希、それに審査員特別賞を獲得した高木古都(この名前は非常にいいと思う)の3人が上がったのですが、如何せん公の場に立った経験が少ないであろう女の子たちであるうえに、司会が前述のような有様ですから、もう月並み極まりない質問で話をループさせ一向に拡げることが出来ずただただ散漫な印象を残すのみ。なんだか女の子たちが可哀想で仕方ありませんでした。
ある程度時間が経過したところで、突如司会の男性が、この作品で映画デビューを飾るという人物が会場に来てくださっている、と言いだした。斉藤健一さんです、どうぞ、と呼ばれて出て来たのは。
ヒロシでした。
決してフリートークがうまい芸人ではないのに、さすがに一時期出ずっぱりになっていただけあって場慣れしているし、雰囲気を良くするのには長けている。依然としてやる気に乏しい司会に変わってきっちりと話を組み立て、女の子たちにもちゃんと話題を振って埋もれないように配慮していたのは立派でした。大林監督がファンだということで起用、芸人であることを意識されないよう本名での出演となったそうですが、この場合はやはり“ヒロシ”に感謝するべきでしょう。彼が出て来なかったら本当にどうしようもなかったぞ。
ヒロシが出なかったら長いだけの30分の舞台挨拶があって、ようやく本編開始。例によって詳しい感想は後日アップするとして、ざっと述べておくと――本編も微妙でした。リメイクにあたって舞台や時代背景以外にも、中盤以降のプロットに大きな変更が施されていて、そのアイディアの大枠や映像など部分部分は悪くないのですが、それ以外が概ねダメ。冒頭から台詞は下手だし間の取り方は悪いしカメラワークが無意味だし、話の流れや人物の肉付けも間違っているところが多すぎて、大枠の良さをあらかた殺してしまっている。肉付けが間違っているところを除けば演技や映像自体は悪くないし、主題歌などはラストに流れた原曲よりもヒロインの歌と演奏のほうが格段にいいぐらいで、傑出した要素も随所にあったのですが、まとめてこうもダメになるとは。個人的には、脚本・編集を別の人に預けて筋を通してもらい無駄を省けばずっと良くなったように思えるだけに、ひたすら残念な出来でした。純粋に抽選に当たったからとはいえ試写会でタダで鑑賞させてもらって否定的な意見ばかりになるのは心苦しいのですが、さすがにこれは褒めるのは無理です。あちこちの良さを悪いところが潰しすぎ。
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