『3年B組金八先生第8期』第1話

 前シリーズ終盤が、脚本家の交代劇に加えて新しい脚本家の技術が作品の目指すところにいまいち追いついていないグダグダになってしまったので、二代目脚本家が引き継いでの新シリーズにもいまいち期待は持てなかったのですが、これまで支持してきた作品でもあるのでとりあえず鑑賞。

 第4期あたりからは第1話冒頭で全体を支配する生徒の個性を打ち出して、その周辺で物語を構築していく、という感じでしたが、今回は少子化と教育制度の変化によって、数年後には3B自体が存在しなくなる危険を打ち出し、ある意味従来以上に金八先生寄りの視点から物語を展開していこうとしている印象。

 この新しい脚本家の方、先代のようにしばしばコメディが行きすぎてシリアスな話に悪い不自然さをもたらしてしまう、という欠点が補われている代わりに、生真面目すぎてトーンが低調になってしまう傾向があるように感じていましたが、上記のような方向性を打ち出した結果、案の定、折角の初回2時間なのにトーンが低い低い。描いていることはリアルですし説得力はあるのですが、如何せん全体で牽引するところがないのは、ちょっと拙いかも。

 前シリーズは最初に流れが決まっていたからなのか、覚醒剤を使ってしまった生徒の処遇が非現実的なくらいに重かったことが未だに引っ掛かっているのですが、今シリーズは第1回を観た印象ではその轍だけは踏まずに済みそうな気がします。他人の絵を自作と偽って提出した生徒に対しても、母親に見捨てられてネットカフェに入り浸っている生徒に対しても、金八先生らしく体当たりの指導で、しかし反応は決して劇的ではなく静かに起きている、という形で描いているのには好感を抱きます。

 このシリーズの存在意義を認めている私でも地味すぎて見所に欠くかなー、と思いつつ観ていましたが、とりあえず方向性は理解できましたし間違ってはいないと思うので、しばらく観てみましょう。新しい脚本家が一から築きあげた分、どれだけ終盤のドラマにそれを繋げられるかがポイントでしょうか。次回からは焦点になる新しい生徒も入ってくるようなので、彼女がどう絡むかも。

 ……それにしても、今回美術教師として参加した藤澤恵麻。前に映画『奇談』で初めて見たときから思ってたんですが……顔立ちが古い。美術教室で生徒の親から抗議を受けている場面は、なんだか第二期あたりを見ている気分になりました。顔立ちだけでなく、演技の方向性が古いせいもあるんですけど。『金八先生』の基本スタイルに古さがつきまとうとはいえ、もーちょっと何とかならんもんか。

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