大手ブライダルコーディネート企業に勤める長谷川桃子は、現場での大失態を契機に系列の葬儀会社にある特殊清掃課なる部署に飛ばされる。仕事内容は、事件現場の血痕などを除去すること。うんざりしながらも、契約を交わしてしまったために渋々仕事に就いた桃子だったが、初めて訪れた事件現場は、銀行強盗が警官によって射殺された場所。のちに、その射殺された銀行強盗がかつての恩師であることを知った桃子の身に、異様な出来事が起きる……
原作である加藤実秋氏の著書は、作業が立て込んだり途中で『列車消失』に浮気したりしていたためにまだ第二話の終わりぐらいまでしか読めていないのですが、それでも断言できます。これは別物。ヒロインの名前とすごーく大きな括りで“特殊能力”を身に付けてしまったこと、事件現場の清掃をお仕事のひとつにしていること、谷原章介演じる同僚キャラの肉付けや人物名のごく一部、配置が一致しているくらいで、ドラマ作りの方向性からしてまるで違う。何となく原作を馬鹿にされているような気がして、リアルタイムで読んでいるからこそかなり不愉快。
いや、原作に対する感情を抜きにすれば、決して不出来な作りではないのです。時間を舞い戻って状況を改善する、という発想は有り体ですけれど、それを正統的にサスペンスとして盛り上げるために、用意した素材を丹念に利用していく手管は悪くない。
ただ、それでも根本的な不備は多々ある。たとえ銀行強盗相手でも、一般の警官が許可なしに発砲することはあり得ない、また語られていた状況からするとこれは警察の不祥事として大騒ぎになっていたはずですし、原作では「警察が自分で現場の清掃を依頼することはあり得ない」とちゃんと明記しているのにドラマでそれを覆してしまうのはさすがに姿勢としてどうかと思います。そういうところが不愉快にさせる原因になっているのです。
……とあれこれ言うものの、テンポは悪くないし、原作のキャラクターを独自に発展させた長谷川桃子や大友将太郎というふたりのメインはなかなかユニークに仕上がっている。単純に、“一日戻ってしまう”という趣向がうまく活かせるなら、これはこれで面白くなりそうな手応えはあります。とりあえず最後まで観ましょう。
余談ですが、作中で強盗に入られる銀行のロケーション……あそこ、知ってます。こんな形で観るとは思わなかった。当然ながら銀行などではありません。
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