『ガリレオ』第四章 壊死(くさ)る

 豪邸に暮らす女子大生が、自宅のプールで心臓麻痺を起こして亡くなった。普通ならば事件性なし、となるところだが、内海は屍体の左胸に残る痣が気に懸かってしまう。毎度ながら湯川の元で愚痴をこぼす内海だったが、病理学は自分の専門ではない、と突っぱねられる。だが、田上という有望な学生との会話が彼にインスピレーションを齎し、にわかに興味を抱く……ある可能性を頭に描いて。

 SMAP香取慎吾をゲストに招いていよいよ意気軒昂、といった感じ。謎解きとしては深みがない――なにせ仕掛けを最初の殺人シーンで見せてしまっているわけですから――ですが、これまでに確立したムードとキャラクター性の上にうまく天才学生という犯罪者を取り込んで、従来以上にサスペンスを構築している。もーちょっとユーモアが欲しかったところですが、今回は特に仕掛けと犯人との絡みに充分な尺が必要だったので致し方のないところでしょうか。

 それにしても今回は、湯川というキャラクターの複雑性がよく出たエピソードになっている点でも見応えがありました。犯人との直接対決、挑発的な台詞に対して有り体の反論ではなく相手の頭を飛び超えるような台詞で圧倒し、一部の生真面目な視聴者に失望させたところで、ラストシーンにおける内海とのやり取りでいつも以上にさり気ないフェミニストぶりを見せてちょっと印象を改善する。東野圭吾の小説なら直接対決のひと幕だけでいいのでしょうが、ドラマとして付け加えたラストシーンは一般視聴者に不快感を与えないためには必要なプロセスで、この過程を納得させるだけの感情的伏線がこれまでのエピソードでちゃんと盛り込まれている。改めてこのドラマ、なかなか優秀だと思います。

 お約束である数式落書きも今回はそれなりに意味があったと見られますが……しかし後ろに黒板があるのに何で机を使うんだ。内海に電話をしている湯川の背後で黙々と片付けている助手が気の毒でした。

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