『猟奇的な彼女』7回戦

 凜子に恋心を打ち明けた三朗、だが彼女はまともに答を返さなかった。無事に東京に戻ってきたが、彼の「何でもする」という言葉を利用して、これまで以上の無理難題を突きつける。しまいには三朗に、自分のためだけにピアノを弾けとまで言い出した。折悪しく、学会での発表をかけて論文を書かねばならない状況だった三朗だが、それでも並行してどうにかものにしようと努力をする。そんな中でも相変わらずの凜子は、弟のところに居ついていたあいだに書いた原稿のデータを取ってきて欲しい、と言い出す……

 あー、やっとここまで来て、オリジナルだけど本家の方向性を留めたスタイルに近づくことが出来ました。配分は第一回程度ですが、それでも湿っぽさが勝った前回あたりまでよりは格段にいい。やっと凜子のストレートだったり天の邪鬼だったりという奔放な個性が台詞にも活きてきていますし、草なぎもようやく映画でのあの役柄がぴったりだ、という印象を改めて感じさせてくれている。両者の妙な掛け違いと、不思議な噛み合い方がなかなかに素敵です。

 他方で、前回まで態度の曖昧だった教授が急に中学生のごとき動揺を示しつつ南にアプローチをかけたり、最後にあまりにありがちなどんでん返しを持ってきたり、と相変わらずどこまで狙っているのか解らない拙さも覗かせているのが不安です……ここまで来てまだ、悪い意味で確信を持たせてくれないのはやっぱり問題だと思う。

 ……しかし、1話だけとは言え、これだけ普通に出来るなら、下手に凜子の過去について描いたりするよりは、一般のコメディ漫画のように1話完結形式にして、その都度イベントを盛り込んでまとめたうえで、終盤にまとめる格好にすれば違和感を齎さずに済んだと思うんですが……

コメント

タイトルとURLをコピーしました