『キミ犯人じゃないよね?』第10話 過去から来た彼女

 株で損をした男が、借金苦で自殺をした、かのように思われた。病院でアルバイトしていたさくらは、その男の屍体の腕に彫られた入れ墨に見覚えがあった。5歳の頃、記憶力に優れたさくらの頭にぽっかりと生じた空洞にちらつく記憶のひとつに、その入れ墨が残っていたのである。珍しく宇田川に駆り出されるのではなく、自発的に捜査に乗り出したさくらだったが、手懸かりを隠していると思われた高利貸しに接触したその翌日、当の高利貸しが殺されてしまい……

 あー、こっちは最終回なのが素直に残念。これまでのやり取りで積み上げたギャグを最後まで有効活用して、ひねりを加えて笑いを取る手管が素晴らしかった。しかし警察の皆さん馬鹿すぎ。そしてささやき刑事はジョーカーすぎる。

 で、ようやくさくらの過去の事件ですが……案の定というか、かなり安易な代物でした。犯罪計画としてはあり得るんですが、しかし過去でもこの展開というのはちょっとおかしい。現在の事件についてはともかく、過去のほうは思惑通りに手懸けるのは不可能でしょう。その辺の詰め込みが甘いので、ミステリとしての完成度はシリーズ全篇の中でも緩い仕上がりになってしまいました。

 しかしそこにちゃんとドラマを盛り込む工夫はされているので、ただパターンに収めるだけの『パズル』とは別格の味わいがある。しかも決して無理に真面目に締めるのではなく、ここまで膨らましてきた分だけ無意味に弾けて終わらせてくれたのも良し。

 惜しむらくは、さくらの過去、とりわけ記憶を失っていた理由についてこういう素敵なものを用意していたのなら、予め伏線を張っておいて欲しかった。そうすればラスト、もっと爆裂できたのに。

 とはいえもうここまでが充分楽しかったので、そんなのは大した不満ではありません。約3ヶ月、ご苦労様でした。あまりに素敵だったので、既に決まっているDVDは本気で購入を検討してます。

 ……しかし本当に、『パズル』の1週分ぐらい、こっちに分けて欲しかったなあ……。

コメント

タイトルとURLをコピーしました