ブロガーを対象にした試写会が当選したので、夕方からお出かけしてきました。会場が手狭らしく、今回はお一人様のみ有効、ということで、身軽だったのをいいことに、本題の前にもう1本観てくることに。試写会の会場は新橋駅に近い場所でしたが、歩きでも10分程度で辿り着ける距離であることを確認して、まず向かったのは日比谷にあるTOHOシネマズシャンテ。
ついで、とはいうものの、もしこの試写会が当選していなくても今週中に行くつもりだった作品です。『箪笥』のキム・ジウン監督作品、ソン・ガンホ&イ・ビョンホン&チョン・ウソンという豪華キャストを集結して描いた、韓国版西部劇『グッド・バッド・ウィアード』(CJ Entertainment×Showgate・配給)。
予告篇の破天荒さと前評判の良さから、実はこないだの『20世紀少年<最終章>』より楽しみにしていたのでした。なるほどこりゃ無茶苦茶で面白い。個人的には、無茶苦茶でも伏線をもっと慎重に張り巡らせた感じを期待していましたし、その辺があまりに大雑把なのでちょっと残念な部分もあったのですが、役者が揃っているだけあって演技には芯が通っていて破天荒ながらも説得力があるし、何より派手なアクションの数々が壮絶かつ爽快。見応えのある娯楽大作になってました。1930年代の満州が西部劇の舞台になる、というのはけっこー驚きだ。
観終わったあとはほぼ線路伝いに歩いて試写会の会場へ。作品は、カナダのプリンスエドワード島を舞台に、少女・杏里の悲しみと成長とを綴った『アンを探して』(cinequanon×Grand Jete・配給)。
杏里が祖母・静香の初恋の相手を探す、という内容なんですが、想像以上にいい映画でした。題名にある通り小説『赤毛のアン』を通底音にして、終戦直後の静香の初恋に杏里が旅先で覚える恋心、そして杏里が身を寄せる宿の主マリに関するドラマなどが絡んで、喜びと悲しみが共鳴しあい、繊細で純粋な雰囲気を醸しだしています。舞台設定を活かして、カナダにおけるフランス人入植者の話や戦争経験者のエピソードを挿入しているあたりもいい。予想はできるものの、そこを敢えて裏切らないラストも素敵です。正直に言って、そんなに期待していなかったのですが、傑作と言っていいと思います。
上映後は監督の宮平貴子氏が登場。けっこうハードだったらしい制作現場について語ってくれました。期間が28日と限られているのに、ユニオンの規定によって撮影時間が引き延ばせないためにものすごーいギチギチのスケジュールだったとか、予算も制約が厳しく、そのために日本から来る俳優はマネージャーも抜きの単身で、と依頼せざるを得ず(だからロザンナでさえ単身のカナダ来訪だったそーだ)、撮影開始2週前に交渉が決裂して主演女優が不在になり、最終的にビデオチャットでの面接を経て起用されたのが穂のかだった、とか。当人も満足していたようですが、実際ナチュラルな雰囲気が人物像に合っていて、穂のかはいい配役だったと思います。
宣伝費でさえも相当に絞り込まれているそうで、今回が初めての一般向け試写会だったそうです。素直なコメントで盛り上げてくれれば、と語っていましたが、私は本篇、けっこう本気でお薦めします。正式公開は10月31日とのこと。
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