……帰りに降られなくて良かった。[午前十時の映画祭(46)]

 諸々の予定を検討した結果、今日観に行かないとまずい、と判明したので、午後から急いで映画館へ。天気予報では1日曇りと出ていますが、湿度の高さからすると決して楽観視は出来ません。ちょっとビクビクしつつも、いつも通り自転車にて日比谷にあるTOHOシネマズみゆき座へ。

 午前十時の映画祭《赤の50本》今週の作品は、陪審員制度をモチーフに、有罪・無罪のあいだで揺れる男達の姿を追った密室劇十二人の怒れる男』(松竹セレクト配給)。しばらく前にリメイク版を先に観てしまって以来、オリジナルも観なきゃ、とずーっと念じてましたが、ようやく念願叶いました。

 ……うああ、これはすごい。題材も登場人物も舞台もほとんど華がないのに、見事に迫力のあるサスペンス、ドラマを醸成している。少しずつ“合理的な疑い”が示され、ひとり、またひとりと無罪に判断が傾いていく様はスリリングでさえあります。そして落とし方も実に見事。なるほど歴史に残る傑作でした。……あと、ロシアでのリメイク版が、思いの外けっこう忠実だったことにも驚いた。

 しかしこの作品、ちょうど夏場の蒸し暑い時期の出来事としていて、終盤にさしかかって夕立の降ってくる描写がある。劇場を出るとき、ちょっと怖いものがありました――実際にはうっすらと晴れ間さえ覗いていたわけですが。

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