神様が地上に降りるのを見届けたあと、カンフーの達人がハリウッドに上陸するのを見届ける。[大成龍祭2011(8)]

『美女と探偵』のイベントも終了し、他に不都合もない――いや、あると言えばありますが、これを何としてでも20回鑑賞する、という目標を達成するためには、なるたけ時間を作らねば、ということで、3週間ぶりの大成龍祭2011鑑賞へ。

 ただ、昨日も記した通り、今週も観たい作品が無数に封切られているので、どーせ映画館へ行くなら、スケジュールの兼ね合いがいいものを消化しておきたい。調べてみたところ、1作だけ都合のいい時間に上映しているものが見つかったので、早めに現地入り。

 大成龍祭前に鑑賞した最初の1本は、マーヴェル・スタジオ最新作、地上に堕とされた神の冒険を描いた異色のヒーロー・アクションマイティ・ソー』(Paramount Japan配給)

 実はこの作品、非常に気になってました。浅野忠信のハリウッド進出作だから、ではなく、ノヴェライズではありますがいちおう北欧神話をネタにした作品を著している者としては、ソー(トール)を主人公としたヒーローものと聞いては観ないわけにはいかない。で、実際に観てみると……北欧神話のエッセンスはけっこう抜けているし、ドラマ部分もあちこち欠落があるし、色々と足りない仕上がり。ただ、随所に鏤められたユーモアが効いていますし、監督がシェイクスピアの映像化に定評のある人物なだけあって、表現は実に巧み。抜けている割に厚みがあって、妙に好感の持てる作品でした。

 少し間を置いて大成龍祭。私にとって8本目となる作品は、ジャッキーの記念すべきハリウッド進出作にして、最盛期に多くのジャッキー作品に携わることになる東宝東和が初めて日本での配給を手懸けた『バトルクリーク・ブロー』(東宝東和配給)

 聞いていたとおり、ハリウッドに合わせすぎてどうもジャッキーらしいアクが乏しい作品。ただ、それでもロー・ウェイ監督よりも遥かにジャッキーの良さに作品の軸を合わせているのが好感触です。如何にもハリウッドらしい大味さもあれど、少なくともストーリーに大きな破綻がなく、その分だけ素直にアクションに浸れるのもいい。そのうえで動きの見せ方に工夫があれば、と惜しまれますが、第一歩としては上々だと思う。

 何にしても、この辺からジャッキーはロー・ウェイ監督の呪縛から解き放たれ、更に色々と試行錯誤を重ねる時期に入っていくようで、いよいよ面白くなりそうです。……初期のワンパターンな作りも、実のところ決して嫌いではないんですけどね。明らかにジャッキーの望んでいた方向とずれているのが見えなければ。

 ――と、ひとつ大事なことを書き忘れてました。

 TOHOシネマズ系列では『パイレーツ・オブ・カリビアン』最新作の公開に合わせて、多くの劇場で3D上映の方式を変更しました。それまでの貸し出し式のごつい眼鏡から、配布するタイプの眼鏡を採用したわけです。

 初日に『パイレーツ〜』を観に行った私は、導入初日にこの3D方式を体験したわけですが、当日も記したとおり、通常の眼鏡を着用している人に対応していないのが不満でした。で、とりあえず劇場の方にくどくど言っておいたところ、わずかひと月の先月末から、クリップタイプの3D眼鏡を導入したのです。

 ……そんな短期間に導入できる、ということは、3D上映のシステムを供給しているところで既に準備が出来ていたか、間もなくできるはずだったものを、話題作の上映に無理矢理合わせてシステムのみ導入し、矯正用の眼鏡を着用している人への配慮を後回しにした可能性があるのが引っ掛かりますが、まあ、ちゃんと対応してくれただけ良しとしよう。

 ともあれ、新しいクリップタイプの3D眼鏡を購入しての鑑賞です。気になっていたのは、前回『パイレーツ〜』を鑑賞したとき、別の劇場で導入されているクリップタイプのものでも、ある程度立体視が可能だったわけですが、果たして正規に採用されたクリップタイプのものと品質に違いはあるのか、という点。検証のために……というより近ごろはいつ気が向いてもいいよう、鞄の中に他社の3D眼鏡も入れて持ち運んでいるので、3D方式での予告篇が始まった段階で、双方を交互にかけて確かめてみた。

 ……一目瞭然でした。やっぱり、正規のもののほうがしっかりと立体視できる。

 最初に流れた3Dでの予告篇は、震災の影響で公開延期になっていた『サンクタム』でしたが、他社の眼鏡を通して観ると、映像がちらついて目に負担がかかる。しかし正規のものなら、この手のストレスをまったく感じません。最初の予告篇の時点でその差は歴然としていたため、次の『トランスフォーマー:ダークサイド・ムーン』予告篇は大人しく正規のものをかけ続けて鑑賞したのですが、ちょっと度胆を抜かれるくらいの迫力があります。

 これでようやく、ほんとーにストレス最小限で3D映画が鑑賞できそうです――少なくともTOHOシネマズとユナイテッド・シネマでは。まだ他の劇場ではほとんど試していないのですが、まー3D作品ともなるとたいていは大規模なロードショーになるので、これでほぼ問題はない、はず。……肝心の本篇『マイティ・ソー』に3Dで作った意味をあんまり感じなかったんですが、まーそれもありだろう!

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