『ドラゴンファイター』

ドラゴンファイター [DVD]

原題:“師哥出馬” / 英題:“Here Comes Big Brother / 監督:チャン・チー / 製作:ハン・カン / 音楽:周福良 / 武術指導&出演:ジャッキー・チェン / 出演:チャールズ・チン、ユン・チウ、フー・ジン、リー・マンチン / 映像ソフト発売元:MEDICOS ENTERTAINMENT(ほかの会社からのリリースもあり)

1973年香港作品 / 上映時間:1時間24分 / 日本語字幕:?

日本劇場未公開

2010年3月1日映像ソフト日本最新盤発売 [DVD Video:amazon]

DVD Videoにて初見(2011/11/23)



[粗筋]

 タクシー運転手のチャン(チャールズ・チン)はある日、男たちから逃げ惑っている女を拾った。警察に向かうか、と訊ねたところ、それよりも先に病院へ、と訴えた女だったが、到着直前に悶絶し、担ぎ込まれたときには息を引き取ってしまう。

 翌る日、チャンの車の前に、きのう記者として話を聞きに来た男が現れる。だが、男と共に乗り込んできたのは、昨日女を追い回していた連中だった。男たちのリーダー(ジャッキー・チェン)は「女から奪った財布を返せ」と脅すが、チャンにはまるで心当たりがない。

 しかし、男たちはチャンの言い分に耳を貸さなかった。チャンの仲間たちの応援で撃退されたあとも、警察を装ってチャンの家に侵入、家捜しをしていく始末。

 いったい彼らのあいだに何があったのか。首を傾げるチャンたちのもとに、死んだ女性・フォンの姉を名乗る女性が現れた――

[感想]

 かなり早くから主役級で活躍していた、というイメージのあるジャッキー・チェンだが、もともと京劇を基礎とした芝居を学び、“七小福”として子役で活動していた時代もあり、実は下積みもかなり長い。本篇は、彼がロー・ウェイ監督に見出されるより前に、武術指導を兼ねて出演したはじめての作品である。

 恐らく、彼の名が売れたあとにテロップなどに手が加えられたのだろう、私が鑑賞したものは、キャストのなかでは彼の名前がいちばん最初に表示される仕様になっていたが、実際にはチャールズ・チン――“福星”シリーズで二枚目半の犯罪者を演じている俳優が主役だ。
 しかし、この程度の誇張は別に構わない。本篇の問題は、とにかく面白くない、ということだ。

 一種の巻き込まれ型サスペンスだが、終始話運びのピントがずれている。ポイントは死んだ女が持っていた財布なのだが、そんなものは知らない、というチャンに対し、ジャッキー演じるチンピラ達は変に策を弄したかと思うと次の瞬間には力押しでどたばたに発展し、いったいどうしたいのか解らない。対するチャンとそのタクシー運転手仲間たちは、チンピラに対抗意識は燃やすが、何故狙われているのか、相手が何を探しているのか、ということを考慮せず、基本的に手をつかねているだけかと思えば、犯罪者が主役となったり性的興奮を煽るフィクションの類を唐突に悪者扱いする持論を並べ立てる。では作中のジャッキーたちがそういうものに接している様子を描いているとそんなこともなく、ただ単に突如として持論を述べただけに過ぎないのだ。

 でも、ジャッキーが参加しているからアクション描写は悪くないのではないか――と思うと、こちらも全般的にいただけない出来映えだ。よくできたカンフー映画、アクション映画のように、きちんとキャラクターの個性や得意技を設定していないので、全般に漫然と揉み合っているだけ、というふうにしか見えない。武術指導をジャッキーが行っていたとはいえ、演じる者が決して慣れていないので、構えたり相手の動きを待っている部分がちらほらと垣間見えてしまっており、どうにもぎこちない。さすがにジャッキー自身は、走るタクシーの上に覆い被さってみたり、トラックの屋根から跳んでフェンスを乗り越える、というアクションをさらっとこなして驚かしてみせるが、変に凝ったカメラワークのせいで、動作のインパクトが充分に伝わってこない。

 ジャッキー本人が挑んでみせたアクションの数々に、後年の小道具をふんだんに用いた戦い方の雛型が垣間見えたり、売れはじめた頃よりも更に若いジャッキーが、チープなメイクでつけた痣をトレードマークにしたチンピラに扮するという、後年の姿からは想像も出来ないキャラクターを演じている、という点や、『ポリス・ストーリー/香港国際警察』で登場するアパートがちらっと登場したり、という場面など、ファンにはそれなりに興味深いポイントはあるが、今となってはそれ以外に見るべきところはない、というのが正直なところである。著作権が切れているとかで、かなり手頃な価格で入手できるのだが……それでも「買って損した」と思う可能性はあるのでご注意を。はじめから突っこみまくることを愉しみに鑑賞するのがたぶんいちばんいい。

 ……ていうことは、このタイトルは何か、ストーリーとも登場人物とも絡まず、駄目そうでも敢えて本篇に挑む者を“ドラゴンファイター”=ジャッキー作品を極めようとする者、と捉えてつけたんだったりして……そんな馬鹿な。

関連作品:

五福星

香港発活劇エクスプレス 大福星

七福星

ポリス・ストーリー/香港国際警察

カンフーハッスル

コメント

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