『百日紅〜Miss HOKUSAI〜』初日舞台挨拶atTOHOシネマズ日本橋。

 今年はイベントの情報をチェックする余裕があんまりないので、舞台挨拶をそれほど見てません……いや、多くの人は年に1回も見ないのかも知れませんけど、私の鑑賞本数からすると今年は少ない、という意味で。が、本日は、何気なくスケジュールを確認していたときにイベント情報を発見、だいぶ座席も埋まってましたが、納得のいく座席が確保できそうだったので、鑑賞を決定しました。

 しかし、昨晩は作業の大詰めのために、うっすらと空が白むまで起きていたうえに、なかなか寝付けなかった。加えて、近づいている台風の影響か、天気予報も雨を警告していたので、ふらふらの足取りで電車にて移動しました。

 鑑賞した作品は、夭逝した漫画家にして江戸時代の研究家であった杉浦日向子が、葛飾北斎の娘で自身も絵師であった葛飾応為ことお栄の半生を題材とした漫画を、原恵一監督が3年を費やして製作した時代アニメーション百日紅〜Miss HOKUSAI〜』(東京テアトル配給)

 あとの舞台挨拶で登壇者も言及していましたし、私も『かぐや姫の物語』で実感してましたが、いま時代物をアニメーションで扱う、というのはいい組み合わせなのかも。巧みに再現された時代の空気もさることながら、“北斎”という題材ならではの映像表現が印象的。そして、全体を通しての筋というのはないのに、一貫した芯を感じさせる語り口が、透徹した魅力を醸し出している。個人的には、随所に現れる幻想的なモチーフが怪談のオーラを放っているのに興奮しました。渋めですが、大変にいい作品。

 上映後に舞台挨拶です。原恵一監督に、ヒロイン・お栄を演じた杏、北斎役の松重豊、弟子役の濱田岳にお栄の妹・お猶役清水詩音、そして北斎親子らと取引する版元の男を演じた立川談春らが登壇。本篇上映後であることに加え、既によその劇場でいちど挨拶を行っており、そちらでマスコミ取材を兼ねていたからなのでしょう、少しだけリラックスした雰囲気……とはいえ、声優初挑戦だった松重豊は、演技を“聴かれた”後であるが故のプレッシャーも感じていたようですが。

 本篇は、原恵一監督にとっても悲願のプロジェクトであったのと同時に、杉浦日向子のファンだったという杏にとっても念願の作品だった模様。それ故の苦心もあったようですが、原作に接していない私の目には、原作はもちろん、応為という絵師、ひいては時代もののアニメーションにも興味を惹かれるような優秀な仕上がりだったと思います。

 挨拶のなかで印象的だったのは、終始しっかりとした受け答えをしていた子役の清水詩音の気丈さと、「舞台挨拶に立つ機会はそんなにないだろうから」と懇願して参加させてもらったがために、マイクが足りず、濱田岳とマイクをシェアしていた立川談春の微妙なテンパりっぷりでした。喋りのプロですから、そつなくこなしてはいましたけど、たぶんずーっと悩み続けていた。

 帰りはその辺で食事をしてから……と考えていたのですが、甘かった。今日明日は神田の例大祭秋葉原のほうまで足を伸ばしても、どこもかしこも混んでいる。けっきょく秋葉原で電車に乗り込み、自宅で簡単に済ませました。そして食後は、ぶり返してきた眠気にノックダウンされ、夕食前くらいまでひたすら眠りこけたのでした……。

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