空飛ぶ巨大なばかうけの下で。

 先週は思わぬことで多忙になり、映画館に行くきっかけがつかめませんでした。しかし今日は、割引の関係から必ずこの日に観る、と心に決めていた作品がある。いちおう私の用事がないのを確認しつつ、出かけてまいりました。

 劇場はいつものTOHOシネマズ日本橋、鑑賞したのはテッド・チャンによる小説を、『ブレード・ランナー』最新作にも起用された注目の才能であるドゥニ・ヴィルヌーヴが監督して映画化、突如として地球に現れた異星人たちの意図を探るSFミステリーメッセージ(字幕・TCX)』(Sony Pictures Entertainment配給)

『灼熱の魂』以来追っかけてますが、あの作品に匹敵する名作だと思います。まったく目的が不明の異星人たちとコミュニケーションを図る過程、それぞれのお国柄によって異なる対処や世間の反応を織り込み、穏やかながらも奇妙な緊張感が持続する。そして、きちんと張り巡らせた伏線が作り出す、SF的だけど情感のある決着は秀逸。考慮された構図と不穏さを称えた音楽まで、見事な1本でした。完全なSFなのにアカデミー賞で健闘したのも宜なるかな

 作品自体は満足だったのですが、困ったのが隣の客です。一人客なのに、序盤は変なところで声を出して人の気を散らし、挙句エンドロールに入ったところで「駄作だな」と呟いて席を立った。

 評価は人それぞれなので、別に駄作と捉えようと構わない。でも、まだ余韻を味わっている客だって沢山いる場内でそれを口にするのはさすがに無神経すぎ。吐き出すのはせめて劇場を離れてからにして欲しい。

 私自身は上記の通り高く評価してますが、しかし恐らくSF的趣向に慣れていないひとには解りづらいクライマックスでもある。そのせいなのか、まだ公開から4日しか経っていないのに、私が売店に立ち寄ろうとしたそのとき、「『メッセージ』のパンフレットは完売しました」というアナウンスが流れてきたのでした……さすがに再入荷はするらしいので、午前十時の映画祭8を観に来たときにでも改めて購入はしますが。

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