……我ながら昨晩からの半日強はヘヴィでした。既にグロッキーなので、なるべく簡単に。
陽も沈みきってから新宿入りした私は、今回は最初に大つけ麺博へ。軽い夕食がわりに食べたのは、長野の中華そば 依々恋々の純水鶏つけそば。
“そば”という名称に相応しく、ツルツルとかなり啜りやすい。主流のつけ麺と比較するとかなりさらさらのつけ汁ですが、そのぶんかなり塩味が来る。しかしこのくらいの方が、細くて優しい麺とはうまく馴染むようです。2種類のチャーシューや薬味として加えられた柚子で味に細かく変化をつけられるので飽きも来にくい。ちょっと私の好みからすると塩味が強い印象ですが、でも美味しい……ただ、普通に撮影するとどーやっても画角からはみ出るでかのりは、名に偽りなし、のでかさで、つゆに浸して食べて美味しいんですが、如何せん野外で食べてますから、ちょっと扱いに困りました。実店舗ならこのサイズでもいいんでしょうけど。
食事を済ませると、例によってTOHOシネマズ新宿に赴き、イベントついでの映画鑑賞です。本日拾ってきたのは、『そして父になる』の是枝裕和監督×福山雅治主演、打算尽くしの有能な弁護士が、接見のたびに証言が一転二転する被疑者の事件を扱ううちに思わぬ混乱に陥れられる、法廷劇の要素濃密なドラマ『三度目の殺人』(東宝×GAGA配給)。
予想していたのとはちょっと種類が違いましたが、これはかなりの傑作。一見単純そうに見える事件を追ううちに浮かび上がる幾つもの違和感、それが打算で動いていた弁護士を次第に揺さぶっていく。観る側も、読み通りに進まないことにヤキモキしていきますが、その決着点が衝撃的――ただ、普通に謎解きが行われることを期待したままだと消化不良に陥ると思う。しかしそこにこそこの映画の肝がある。小説でミステリを読みこんでいるような人ほど、たぶんこの物語の終盤には慄然とするはずです。捉えどころのない被疑者を異様な存在感で以て演じる役所広司、意外なほど取り乱していく福山雅治など、役者側も見所が多く、過剰に鳴らしすぎない音楽と相俟って、静謐な衝撃がいつまでも胸に響く傑作。
鑑賞後は本日のメインイベント、新耳袋トークライブ117です……実のところ、今日だけは諸般事情から欠席しようか、と考えてました。体調の微妙さもさりながら、明日はどうしても外せない用事がある。以前はよく一緒に来ていた方が、今夜はどうやら参加出来そう、ということだったので、既にチケットを確保していた映画だけ観て、そのあと先方と落ち合いチケットを提供して帰ろう、と思っていたのですけれど、先方が来るのが難しくなってしまったため、強行軍を覚悟でやって来ました。
内容ももちろん楽しみですが、本日どーしても外したくなかったのは、2018年度の年間パス抽選申込券が受け取れる日だったからです。抽選は憑き物落としとなる12月のイベントで開催されますが、それだと12月に参加出来ない常連が不利になる。そのため、確か一昨年あたりから、10月のイベントでも配布するようになったのです。10月・12月共に参加すれば、2枚応募するのも可能、ということなので、当選確率を上げたいなら今日はどーしても外せない。
……とまあ、そんな理由なので、体調も悪いことだし今夜は眠くなったら大人しく睡魔に身を委ねるか、程度に構えて参加してみたら、思いのほか面白い回でした。
今回の目玉は何と言っても、話にはよく出てくるけど現物にはほぼお目にかかったことがない、“髪が伸びる人形”のお披露目があったこと。木原浩勝氏が力説されてましたが、これのすごいところは、人形そのものに“怪談”になるような背景が一切なく、気がついたら伸びてた、ということ。量産する市松人形を見本として展示する目的で作られたもののようで、ケースの中で完全に固定されていて、人形自体は触ることは出来ても取り出すことが出来ない。しかも、ベースは量産品、つまり植え込まれているのは人毛ではなく化学繊維だというのに、市松人形の標準的な髪の長さを逸脱しているのはやはりおかしい。
ケースに固定されている以外はありきたりの量産品と思われるため、こちらも固定されたプレートには“隆玉”という作者の名前が記されていますが、この人物についても詳細が解らない。木原氏としては作者についても調査したい、という意向があり、かつ、数年後にまた髪が伸びていないか、多くの目撃証言を得て検証したい、とお考えであるため、基本内容については口外しない、という約束で営まれているイベントながら、これに限っては情報拡散を求められました。というわけで、珍しくけっこう細かく記している次第。何か事情をご存知の方は、ツイッターあたりで木原氏にお知らせいただけると幸い。
人形そのものには繋がらないながらも、入手の過程で木原氏が収穫した怪談も、なかなか強烈なものばかり。念のために飲んできた風邪薬がだいぶ効いてきたようで、終わり頃はかなり眠気が厳しかったのですが、どーにか約5時間半乗り切ってきました。
――が、これで終わりではない。帰宅後、取り急ぎ入浴したあと、着慣れない背広に腕を通して、父の一周忌に出かけてきました。
とはいえさすがにこの頃には既にだいぶグロッキーで、お寺での読経は何とか乗りきったものの、そのあとの食事の席で胃腸の方も悲鳴を上げはじめたので、恐縮しつつ早めに退出。夕方まで、泥のように眠りこけたのでした……食事の会場に、ご近所を選んだのが幸いだった……。
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