今日のこの日を、都合1年半くらい待ち焦がれてました。昨年初頭、共同購入方式で映画の復活上映を実現させるサーヴィス“ドリパス”にて販売されたものの購入者数が既定に満たず不成立、7月に捲土重来を期したもののふたたび頓挫してしまった作品が、この夏ようやく上映の運びとなったのです――ぶっちゃけ前の2回は日付と場所の選定が微妙だったせいもあったと思う。今回は、秋葉原UDXシアターを会場に、複数の作品を連続してかける企画なので、販売開始時点で上映は確定していたっぽいですが、いいの観られれば。
急な雨の予報も出ていたため、万一を考え電車にて移動した秋葉原にて鑑賞した問題の作品は、伝説のアニメーション作家・今敏が1998年に初めて監督した作品、女優転身後に浴びる好奇の眼差しと、執着するファンのストーカー的行為によって心理的に追いつめられていくアイドルの姿をリアルに描き出したサイコ・スリラー『PERFECT BLUE』(株式会社レックス・エンタテインメント初公開時配給)。
いまでもこのレベルはなかなか出て来ない、というくらいにアニメとしてはヘヴィな題材と描写。アニメらしい表現を用いつつもモチーフや展開はとことん生々しく、だからこそヒロイン・未麻が味わう不安と恐怖に感染していくような心地がします。中盤以降の現実と幻覚とが曖昧になっていく感覚から、強烈なクライマックスまでひたすら惹きこまれる仕上がり。終盤、犯人の行動が全般に唐突すぎる印象があるのがちょっと気になるものの、これ以降監督に寄せられた期待の大きさも、実際の活躍の見事さも納得のいく傑作でした……改めて、この人の死は早すぎた。もっと作って欲しかった。
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